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無権代理と表見代理 ( 行政書士の「民法」)
無権代理
無権代理とは、
代理人によって代理行為がなされたにもかかわらず
代理人に代理権がない場合をいう。
⇒ 本人に契約の効果は帰属しない。
- 本人が取り得る手段は
①追認、②追認拒絶 がある。
- 相手方が取り得る手段は
①催告、②取り消し、③無権代理人の責任追及、④表見代理の主張 がある。
【本人が取り得る手段】追認 代理行為の効果は、本人に帰属する
(効果は最初にさかのぼる)追認拒絶 代理行為の効果は、確定的に本人帰属しないことになる
【相手方が取り得る手段】*表見代理を主張することもできる。催告 追認するかしないかの催促 善意・悪意を問わず行使できる 取り消し 相手方が一方的に
無効なものとして確定する①善意
②本人の追認がない無権代理人の
責任追及無権代理人に、
履行または損害賠償を請求する①善意・無過失
②本人の追認がない
③取消権を行使していない
④無権代理人が行為能力を有する*無権代理行為を行った者が制限行為能力者(未成年者、成年被後見人等)の場合、
相手方は、催告、取消しができるが、
善意・無過失であっても、履行の請求、損害賠償請求はできない。
表見代理
表見代理とは、
外見的に代理権があると信じさせる「特定の事情」がある場合
有権代理と同様の効果を認める制度。
⇒ 本人は効果帰属を拒めない。
《表見代理が成立する要件》
表見代理が成立する要件 |
①本人の代理権授与表示 ②権限外の行為 ③代理権消滅後の代理行為 + 相手の善意無過失 |
「①~③ のいづれか + 相手の善意無過失」以外では、表見代理は成立しない。
① 代理権授与の表示による表見代理 (民法109条)
1.他人に、代理権を与えた旨を表示したこと
2.表示された人が、表示された代理権の範囲内で代理行為をしたこと
3.相手方の善意無過失
② 権限外の行為の表見代理 (民法110条)
1.基本代理権の存在
2.代理人が、基本代理権の範囲を逸脱して代理行為をしたこと
3.相手方に、その代理権ありと信ずべき正当な理由があること
③ 代理権消滅後の表見代理 (民法112条)
1.かつて代理権を有した者の代理行為
2.相手方が、代理権の消滅について善意無過失
《相手方が取り得る手段》
表見代理において相手方が取り得る手段 |
① 表見代理の主張 ② 無権代理人の責任追及 ③ 取消権の行使 |