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親族   ( 行政書士の「民法」

身分上の法律効果を発生させる法律行為を、身分行為という。

身分行為は、本人の意思を尊重することが要請される。

親族

親族とは、
 ・6親等以内の血族
 ・配偶者
 ・3親等以内の姻族
をいう。
(配偶者は、親族であるが、血族でも姻族でもない。)


血族

血族には、「自然血族」と「法定血族」がある。

《自然血族と法定血族》

-発生消滅・終了
自然血族出生死亡、失踪宣告
法定血族養子縁組離縁、縁組の取消し
  • 縁組前に生まれた「養子の子」と「養親」「養親の血族」の間には、親族関係は生じない
    (縁組後に生まれた「養子の子」との間には、親族関係は生じる。)
  • 「養親」と「養子の実の親」との間には、親族関係は生じない。
    (「養子」と「養親の血族」との間には、親族関係が生じる。)

姻族

姻族とは、「配偶者の血族」「血族の配偶者」である。

《姻族関係》

-発生消滅・終了
姻族関係婚姻離婚、婚姻の取消し
  • 「夫婦の一方が死亡」した場合は、「生存配偶者が、姻族関係を終了させる意思を表示したとき」に、姻族関係は終了する。


婚姻

  • 婚姻は、戸籍法の定めるところにより、届出をもって効力が生じる。
  • 形式的意思だけでは足りず、夫婦共同生活を送る意思(実質的意思)が必要。
    • 子に嫡出子としての地位を得させるための便法として
       仮託されたにすぎないときは、婚姻の効力は生じない。


婚姻障碍

婚姻の届け出がなされても、以下の婚姻障害がある場合は受理されない。

《婚姻障碍》

婚姻適齢男は18歳、女は16歳にならなければ婚姻できない。
重婚禁止重婚とは、婚姻届出をした者が重ねて婚姻届を出すこと。
再婚禁止期間女性は、前婚の解消・取消の日から「6カ月」を経過した後でないと再婚できない。
近親婚の禁止直系血族(養子と養親)
3親等以内の傍系血族(兄弟姉妹、叔父、叔母、甥、姪)
直系姻族、直系姻族であった者(しゅうと、しゅうとめ)
・養子、その配偶者、養子の直系卑属、その配偶者と
 養親、養親の直系尊属の関係にあり、又はその関係にあった者
 (養子と養方の傍系血族の間では結婚は可能
 (養子と養親は、離縁した後であっても結婚は不可
未成年者の婚姻
に関する父母の同意
未成年者が結婚するには、父母の同意が必要
(父母の、一方の同意で婚姻できる)
  • 成年被後見人が婚姻するには、成年後見人の「同意を要しない」


婚姻の「無効」

婚姻の無効原因には、
 ①婚姻意思のないとき
 ②届出をしないとき 
がある。

婚姻が無効である場合、夫婦としての効果は何ら生じない。
(婚姻が無効な場合、生まれた子は、非嫡出子となる。)

利害関係のあるものは誰でも、当事者が死亡した後でも、主張することができる。

婚姻の「取消し」

婚姻の取消原因には、
 ・不適齢婚、重婚、再婚禁止期間内の婚姻、近親婚、 
 ・詐欺・脅迫による婚姻 
がある。

婚姻を取り消すには、必ず、家庭裁判所に請求しなければならない。

  • 当然には無効となるものではなく、取消し得るものである。
取消し
事由
取消権者取消制限など
当事者親族検察官配偶者
配偶者
表意者
不適齢婚適齢後の取消は不可
(3ヶ月間の熟慮期間)
適齢後に追認⇒取消不可
重婚
再婚禁止
期間違反
前婚終了から6カ月後
又は再婚後 ⇒懐胎
 ⇒取消不可
近親婚
詐欺
脅迫
追認⇒取消不可
追認可能時から3カ月
⇒取消不可

*取消の効果は遡及しない。
*婚姻時に取消原因があることを知らなかった当事者が婚姻によって財産を得たときは
 現に利益を得ている限度において、その返還をしなければならない。
(「知っていた」当事者は、「全額」を返還しなけれあならず、
  相手方が善意の場合は、損害を賠償する責任を負う。)


婚姻の効果

  • 夫婦は共通の氏を名乗らなければならない。(夫婦同氏
  • 夫婦間には、同居・協力・扶助の義務が生ずる。
  • 未成年者が婚姻したときは、これにより成年に達したものとみなされる。(成年擬制
  • 夫婦間の契約は、原則として婚姻中いつでも取消すことができる。(契約取消権)


夫婦財産制

《夫婦財産制》

夫婦別産制・夫婦の一方が婚姻前から有する財産
・婚姻中、自己の名で得た財産
は、その特有財産とする。
費用の分担婚姻から生じる費用は、夫婦で分担する。
日常家事債務の
連帯責任
夫婦の一方が、日常の家事に関して第3者に負担した債務については、
他の一方は、連帯して責任を負う。


婚姻の解消

婚姻は、「死亡」、「離婚」により解消される。

  • 婚姻によって氏を改めた夫または妻は、離婚によって婚姻前の氏に復する
    (離婚の日から3カ月以内に届けることにより、離婚時の氏を称することができる。)
  • 離婚した一方の者は、相手方に対して財産の分与を請求できる。
    (財産分与の協議が整わないとき、協議をすることができないときは
     家庭裁判所に対して、協議に代わる処分を請求することができる。
     ただし、離婚の時から2年を経過したときはこの限りでない。)
  • 離婚の協議において、一方を親権者と定めなければならない。


《協議離婚 と 裁判上の離婚》

協議離婚協議離婚の成立には、
離婚意思の合致、②届出、の2つが必要。
(未成年者の子がいる場合は、一方を親権者と定めなければならない)
裁判上の離婚離婚の協議が整わない場合、
以下の場合は、裁判所に訴えて、離婚を決定してもらうことができる。
①配偶者に不貞な行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上不明なとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

*死亡、失踪の宣告の場合、「姻族関係」は
 生存配偶者がこれを終了する意思を示したときに終了する。
(離婚の場合は、姻族関係は、当然に終了する。)

*離婚の協議が夫婦間で整わない場合、直ちに離婚の訴えが提起できるわけではなく、
 その前に、家庭裁判所に「離婚の調停」を申立てなければならない。(調停前置主義)
(調停離婚が成立せず、審判離婚も成立しない場合に、離婚の訴えが提起できる)



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