憲法・民法・行政法と行政書士 > 民法 > 連帯債務
連帯債務 ( 行政書士の「民法」)
行政書士試験ランクA
連帯債務とは、数人の債務者が、同一内容の可分給付につき
各自独立して、全部給付すべき債務を負い、
そのうちの、一人が給付すれば、総債務者の債務が消滅する、多数当事者の債務関係をいう。
債権者の権利
債権者は、連帯債務者の中の1人、もしくは数人に対して、又は全体に対して
給付の一部、又は全部を請求することができる
- 請求は、同時に行ってもよいし、順番に行ってもよい
連帯債務者間の内部関係(求償権)
連帯債務者の1人が債務を弁済し、その他総債務者のために共同の免責を得たとき
他の債務者に対してその負担部分に応じた求償を求めることができる。*負担部分とは、内部的に債務を負担し合う割合のこと。
この割合は、公平でなくともよく、当事者の合意により変更できる。
ただし、債権者に対しては、負担部分がいくらであっても
債務額の全額を給付すべき義務を負う。
1人に生じた事由の効力
相対的効力の原則
原則としては、連帯債務者の1人に生じた事由は
他の債務者に影響を与えない。
(これを相対的効力の原則という)*連帯債務者の1人が「債務を承認」して時効が中断したとしても、
他の連帯債務者の時効は中断しない。
*債権者が、1人の連帯債務者に「支払期限を猶予」しても、
他の連帯債務者の支払期限は猶予されない。
「絶対的効力」
弁済、代物弁済、供託、請求、更改、相殺、混同など、
連帯債務者の1人に生じた事由が他の連帯債務者に影響を与える場合がある。
これを絶対的効力または絶対効という。
《債務全額についての絶対効》
① 履行の請求
債権者が、連帯債務者の1人に対して「履行の請求」をすると、
他の全員に対しても行ったことになる。
⇒全員の「時効が中断」する。
② 更改
債権者と、連帯債務者の1人が「更改」をすると、
⇒全員の「債務が消滅」する。*「更改」は、旧債務を消滅させ、新債務を成立させること
③ 混同
連帯債務者の1人が債権者を相続するなど「混同」が生じると、
⇒全員が「債務の弁済を免れる」。*「混同」は、債権者の地位と債務者の地位が、同一人に帰すること
《負担部分についての絶対効》
④ 相殺
連帯債務者の1人が債権者に対して有する反対債権で「相殺」すると、
⇒他の連帯債務者も「相殺された額」の範囲で「債務を免れる」。ただし、反対債権を有する連帯債務者が「相殺しない」場合、
他の連帯債務者は「相殺を援用」することができる。
(反対債権を有する債務者の「負担部分」の額まで)
⇒他の連帯債務者も「相殺された額」の範囲で「債務を免れる」。例えば、600万円の債務がある連帯債務者A、B、Cが
それぞれ200万円づつの負担部分を有する場合、
Aが債権者に対する反対債権を600万円有していても、
Aが相殺の意思表示をしないときは、
B、Cは、Aの債務での相殺を援用できるが、相殺できるのはAの負担部分である200万円までである。(債務は400万円に軽減される)
⑤ 免除
債権者が、連帯債務者の1人に対して、債務全額「免除」をすると、
⇒他の連帯債務者は、免除を受けた者の「負担部分」の額だけ、「債務を免れる」。例えば、600万円の債務がある連帯債務者A、B、Cが
それぞれ200万円づつの負担部分を有する場合、
債権者がAの債務を免除すれば、
Aの負担部分である200万円が軽減され、債務は400万円となる。
⑤ 時効の完成
連帯債務者の1人が「消滅時効が完成」すると、
⇒他の連帯債務者は、時効が完成した者の「負担部分」の額だけ、「債務を免れる」。例えば、600万円の債務がある連帯債務者A、B、Cが
それぞれ200万円づつの負担部分を有する場合、
Aの消滅時効が完成しAが時効を援用すれば、
Aの負担部分である200万円が軽減され、債務は400万円となる。