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請負契約 ( 行政書士の「民法」)
請負契約とは
請負契約とは、
当事者の一方が仕事を完成すること、相手方が仕事の結果に対して報酬を支払うことを
約束することを内容とする契約。
(たとえば工務店に住宅の建築を依頼する場合など。)
依頼する者を注文者、受託するものを請負人という。
双務、有償、諾成契約。
請負人の義務 | ① 仕事の完成 ② 完成物の引渡し |
注文者の義務 | 報酬の支払い |
*「完成物の引渡し」と「報酬の支払い」は、同意履行の関係。
*請負人は、契約の本旨に従って「仕事を完成する義務」を負う。
第三者に仕事の完成を請け負わせることもできる。
(自らは工事に全く関与しなくともよい。仕事の完成が契約目的)
請負人の担保責任
請負契約において、完成した目的物に瑕疵(欠陥)があった場合、
注文者は、
①瑕疵修補の請求
②損害賠償の請求
③解除
をすることができる。
担保責任の存続期間は、原則として、目的物の引き渡しのときから1年。
*請負の目的物が建物等の「土地の工作物」である場合は、
請負人は、その工作物の瑕疵について、原則として、
「目的物の引渡しのときから5年間」担保責任を負う。
(コンクリート造、金属造等の堅固な工作物は、引渡し後10年)
瑕疵修補の請求
注文者は、瑕疵の修補を請求できる。
ただし、瑕疵が重要でなく、かつ、修補に過分の費用を要するときは、
瑕疵の修補を請求できない。
⇒損害賠償の請求をする。
損害賠償の請求
注文者は、
「瑕疵修補ができる場合でも」、瑕疵修補に代えて損害賠償請求ができる。
また、「瑕疵修補と同時に」、損害賠償請求をすることができる。
解除
注文者は、目的物に瑕疵があるために契約の目的を達成できないときは、
契約を解除することができる。
ただし、建物、土地の工作物の請負契約の場合は、
完成した建物等に、どんなに重大な瑕疵があった場合でも、契約を解除できない。
瑕疵が重大で建て替えざるを得ない場合は、建替え費用の相当額を損害賠償請求できる。
(判例)
- 損害賠償請求権と、請負人の報酬請求権は、同時履行の関係。
- 注文者は、損害賠償請求権と請負人の報酬債権を相殺することができる。
《 請負人の担保責任(注文者の権利)》
瑕疵修補の請求 ・相当の期間を定めて請求する。
・瑕疵が軽微、かつ、過分の費用を要する場合は、請求できない。損害賠償の請求 修補に代え、または、修補とともに、損害賠償を請求できる。 解除 ・契約目的を達成できないときに限り、契約を解除できる。
・完成した建物、土地上の工作物については、解除できない。
担保責任を負わない場合
以下の2つの場合は、請負人は担保責任を負わない。
《担保責任を負わない場合》
担保責任を負わない場合 | 例外 |
---|---|
①担保責任について 「免責の特約」を締結した場合 | 請負人が知りながら告げなかった事実については 責任を免れられない。 |
②瑕疵が、注文者が供した材料の性質、 または、注文者が与えた指図による場合 | 請負人が、 材料・指図が不適切であることを知りながら それを告げなかった場合は、責任を免れられない。 |
注文者の解除権
注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも、
損害を賠償して契約を解除できる。
- 建物・土地上の工作物においても、同様。