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取締役 (会社法

取締役

取締役の資格・任期

取締役の資格、員数、任期については、会社法で以下の通り規定されている。

取締役
資格等・法人、成年被後見人、被保佐人、禁錮以上の刑に処されてその執行が終了していない者等は、取締役になることができない。
公開会社は、取締役を株主に限定する旨の定款を定めることができない
取締役会設置会社は、取締役は3人以上置かなければならない。
任期・取締役の任期は、原則
 選任後2年以内に終了する事業年度の最終の定時株主総会の終結の時まで。
 (定款、総会決議で、短縮できる)
非公開会社は、
 選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終の定時株主総会の終結の時
 まで伸長可。
委員会設置会社の場合は
 選任後1年以内に終了する事業年度の最終の定時株主総会の終結の時まで。 

会社法331条(取締役の資格等)
会社法332条(取締役の任期)


取締役の権限

取締役の権限は、取締役会の設置・非設置により以下のように異なったものとなる。

-取締役会「非」設置会社取締役会・設置会社
業務
執行
取締役は、株式会社の業務を執行する
 (定款で別段の定めがある場合を除く)
取締役が2人以上いる場合は、
取締役の過半数をもって決する。
 (定款で別段の定めがある場合を除く)
取締役は、取締役会の構成員である。

取締役会の議決権を通じて、
業務執行を決定、取締役の職務執行を監督。
代表取締役は、各自が会社を代表する
定款により、
取締役の互選または株主総会決議により
代表取締役を選定することができる。
取締役会設置会社は、
代表取締役を選任しなければならない

取締役を3人以上置かなければならない。


代表取締役 

代表取締役とは、業務を執行し、対外的に会社を代表する者。

代表取締役の選定・終任

代表取締役の選定は、以下の通り。

《取締役会「非」設置会社》
代表取締役の選定は、任意

・各々の取締役が会社を代表する。(原則)
・定款により、または
 定款の定めに基づく取締役の互選、株主総会決議により、
 取締役の中から、代表取締役を定めることができる。 (会社法349条

《取締役会・設置会社》
代表取締役の選定が必要

・取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定・解任する。(会社法362条

代表取締役の業務執行

代表取締役は、
株式会社の業務に関する一切の裁判上及び裁判外の行為をする権限を有する。
この権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。 (会社法349条

代表権がないにもかかわらず
代表権を有すると認めるべき名称(社長など)を付した取締役の行為(表見代表取締役)は、
善意の第三者に対し、会社が責任を負う。(善意無重過失である場合)

取締役の権限の範囲内の取引において、取締役が権限を自己の利益のために濫用した場合、
取引は原則有効だが、
相手方に悪意または過失があった場合は無効とされる。(民法93条の類推適用)


取締役と会社の関係

取締役の「競業避止義務」

取締役が、
自己または第三者のために株式会社の事業に部類に属する取引(競業取引)をしようとする場合
取締役会(取締役会非設置会社の場合は株主総会)において
その取引について重要な事実を開示してその承認を受けなければならない
     ↓
承認を受けずになされた取引の効力は有効だが、
損害が生じた場合は、競業取引を行った取締役が会社に対して損害賠償責任を負うことがある。

取締役会設置会社においては、競業取引を行った取締役は、
遅滞なく、当該取引について重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

取締役の「利益相反取引」

取締役が、
利益相反取引をしようとするときは、
取締役会(取締役会非設置会社の場合は株主総会)において
その取引について重要な事実を開示してその承認を受けなければならない
     ↓
承認を受けずになされた取引の効力は「無効」だが、
「善意無重過失」の第三者に対抗することはできない

取締役会設置会社においては、利益相反取引を行った取締役は、
遅滞なく、当該取引について重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

*利益相反取引とは、
 取締役が、自己または第三者のために会社と行う取引。
  (取締役が、会社の財産を譲り受ける)
  (取締役が、知人の代理人として会社から金銭を借り受ける)
  (会社が取締役の債務を保証する) etc


会社と取締役間の訴訟における会社の代表

会社と取締役間の訴訟では、
代表取締役に代表権はない。
  ↓
・株主総会で、会社を代表する者を定める。
・(株主総会で定める者がある場合を除き)取締役会決議で定めることができる。
・監査役の設置会社では、監査役が会社を代表する。

取締役の報酬

取締役の報酬は、
定款または株主総会決議により定めなければならない。

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