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持分会社 (会社法)
持分会社とは、
社員たる地位が「持分」である合名会社、合資会社、合同会社のこと。
業務執行および会社代表は、社員全員が行う。
業務執行その他の内部規律は、広く定款自治に委ねられる。
《持分会社》
合名会社 | 「直接無限責任」社員のみで構成される会社 (社員全員が、会社債権者に対して、直接、連帯して無限責任を負う) |
合資会社 | 「直接無限責任」社員と「直接有限責任」社員からなる 二元的組織の会社 |
合同会社 | 「間接有限責任」社員のみで構成され、 会社の内部関係においては 民法上の組合と同様の規律が適用されている会社 |
持分会社の「設立」
持分会社は、定款の記載事項として「社員の氏名」がある。
持分会社は、社員全員が会社を代表し、業務を執行するから、定款に社員の氏名を記すことで
持分会社の機関が具備される。
(また、出資義務の履行も、業務執行として請求される)
よって、持分会社の設立は、「定款作成⇒(出資の履行)⇒設立登記」、というシンプルなものとなる。
定款の作成
社員になろうとする者が定款を作成し、
その全員がこれに署名又は記名押印しなければならない。
《定款の記載事項》
① 目的
② 商号
③ 本店の所在地
④ 社員の氏名・名称、住所
⑤ 社員の、無限責任社員・有限責任社員の別
⑥ 社員の出資目的、その価額、評価の標準
出資の履行
《出資の履行》
合名会社 合資会社 | 出資の時期・程度を自由に定めることができる。 (合名会社の社員、合資会社の無限責任社員は 信用や労務を出資の目的とすることができる) |
合同会社 | 合同会社の社員になろうとする者は、 定款の作成後、設立の登記をする前までに その出資に係る金銭の全額を払い込み、又は その出資に係る財産の全部を給付しなければならない |
- 合名会社、合資会社は、無限責任社員が存在するため、
会社に財産が拠出されていなくても、会社債権者を保護することができる。
- 合同会社は、「間接有限責任社員のみ」であるため、
会社債権者保護の必要から、会社設立の登記前に、
その引当てとなる会社財産を確保する必要がある。
設立の登記
持分会社は、その本店の所在地において、
設立の登記をすることによって成立する。
設立の瑕疵
持分会社においては、
設立無効の訴えにおいて、客観的無効要因だけでなく
主観的無効要因(個々の社員の設立行為に錯誤、通謀虚偽表示等があること)
も認められる。
- 「設立取消しの訴え」も認められている
- 社員が、民法その他の法律の規定により(制限行為能力、詐欺など)
設立にかかわる意思表示を取り消すことができるとき - 社員が、その債権者を害すること知って持分会社を設立したとき
- 社員が、民法その他の法律の規定により(制限行為能力、詐欺など)
持分会社の「社員」
持分とは、持分会社の「社員たる地位」のことをいう。
社員の責任
社員は、以下の場合、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
①会社の財産をもってその債務を完済できない場合
②会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合
- 社員の弁済責任は、会社財産をもって完済できない場合に負うものであり、
無限責任社員に対して、債権者がいきなり弁済の請求をしてきたときは
「まず会社財産から弁済を受けるように」求めることができる。
有限責任社員は、その「出資の価額」を限度として、
持分会社の債務を弁済する責任を負う。
(持分会社に対して既に履行した「出資の価額」を除く)
- 「合同会社」の社員は、設立登記前に出資に係る金銭等の全部を支払う義務があるが
「合資会社」の有限責任社員は、社員となる時点で出資全額の履行が求められるわけではない。
持分の譲渡
《持分の譲渡》
持分の譲渡 | |
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原則 | 持分の譲渡には、社員全員の承諾が必要 (定款で、特別の定めを置くことは可) |
「業務を執行しない」有限責任社員 の持分の譲渡 | 「業務を執行しない」有限責任社員が持分を譲渡するには 「業務を執行する」社員、全員の承諾が必要 (定款で、特別の定めを置くことは可) |
- 持分の「全部」を譲渡した社員は、
その旨の「登記をする前に生じた」持分会社の「債務」について
従前の責任の範囲でこれを弁済する義務を負う。
業務の執行
- 社員は、持分会社の業務を執行する。
- 社員が2人以上いる場合は、会社の業務は、社員の過半数をもって決定する。
- 業務を執行する社員を定款で定めた場合、
業務を執行する社員が2人以上あるときは、
会社の業務は、業務を執行する社員の過半数をもって決定する。
持分会社の代表
- 業務を執行する社員は、持分会社を代表する。
- 業務を執行する社員が2人以上ある場合は、
業務を執行する社員は、各自、持分会社を代表する。
- 持分会社は、
定款によって、又は、定款の定めに基づく社員の互選によって、
業務を執行する社員の中から代表する社員を定めることができる。
社員の退社
- 退社した社員は、その出資の種類を問わず、持分の払戻しを受けることができる。
- 退社した社員は、その「登記をする前に生じた」持分会社の「債務」について
従前の責任の範囲でこれを弁済する義務を負う。
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