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募集株式 (会社法

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募集株式の発行

募集株式の発行には、
 ・第三者割当 …株主に株式の割り当てを受ける権利を「与えない」場合
 ・株主割当  …株主に株式の割り当てを受ける権利を「与える」場合
がある。

第三者割当

  「公開会社」と「非公開会社」で、募集事項の決定等で違いがある。
  また、発行する予定が「譲渡制限株式」であるときはその種類株主総会特別決議が必要となる。

《非公開会社》

  • 募集事項の決定は、原則、「株主総会特別決議」を要する。
  • ただし、株主総会特別決議によって、募集事項を
     取締役(取締役会)に委任することができる。

《公開会社》

  • 募集事項の決定は、原則、「取締役会」の決議でよい。
  • ただし、「株主以外の者に」「特に有利な金額で発行等をする場合」は、
    「株主総会特別決議」を要する。
  • もっとも、この場合であっても「株主総会特別決議」によって、募集事項を
     取締役会に委任することができる。

《「譲渡制限株式」を第三者割当する場合 》

  • 「譲渡制限株式」を第三者割当する場合は、上記の株主総会特別決議や取締役会の決議に加えて
    その種類株主総会の「特別決議」が必要となる。
    (ただし、定款の定めにより、この決議を不要とすることができる)


《第三者割当と決議》

-通常特に有利な金額
非公開会社 
株主総会「特別決議」
 
《委任》
株主総会「特別決議」による委任
+
取締役の決定(取締役会の決議)
公開会社取締役会の決議 
株主総会「特別決議」
 
《委任》
株主総会「特別決議」による委任
+
取締役会の決議

*「譲渡制限株式」を第三者割当する場合は、
 上記それぞれの決議(決定)のほかに、その種類株主総会の「特別決議」が必要となる。


株主割当

株主割当は、株主が引き受けに応じれば持株比率に影響がないため
第三者割当比べ必要な決議等のハードルは低くなる。

《非公開会社の場合》
…原則は、株主総会の「特別決議」だが、
 定款の定めにより、取締役の決定(取締役会の決議)で募集事項を定めることができる。

《公開会社の場合》
…取締役会の決議でOK

ただし、「ある種類の株主に損害を及ぼすおそれがある場合」は
当該種類株主総会の「決議」が必要となる。

通知・割当て・出資

募集事項の通知

公開会社は、募集事項を取締役会の決議で決めたときは
払込日(払込期間の初日)の「2週間」前までに
募集事項を株主に「通知」または「公告」しなければならない。


募集株式の割当て

株式会社は、
 ・申込者の中から募集株式の「割り当てを受ける者」を定め、かつ、
 ・「その者に割り当てる株式数」を定めなければならない。

  • 募集株式が「譲渡制限株式」である場合は、
    株主総会特別決議(取締役会設置会社の場合は、取締役会の決議)によらなければならない。

株主割当の場合、株主が、「申込の期日までに申込をしない」ときは
その株主は、募集株式の割り当てを受ける権利を失う

  • 金銭以外の財産の出資(現物出資)を会社が認めるときは、
    遅滞なく、現物出資財産の価額を調査させるため、
    裁判所に対し「検査役」の選任の申立てをしなければんらない。


出資の履行

  • 募集株式の引受人は、
    払込金額の全額(全額に相当する現物出資財産)を払い込み(給付)しなければならない
    • 引受人は、「出資の履行をする債務」と「会社に対する債権」を
      相殺することはできない
    • 引受人は、出資を履行しないときは、株主となる権利を失う
  • 引受人は、
    「払込期日を定めた」場合は、「その期日」に
    「払込期間を定めた」場合は、期間中の「出資した日」に
    募集株式の株主となる。


募集株式の発行等の瑕疵

募集株式の発行等の「差止め」

不当な募集株式発行等により、株主自身の利益が害されることを事前に防止するため、
株主は、一定の場合に、
「募集株式の発行」または「自己株式の処分」をやめることを請求することができる

この差止請求は、
 ①法令・定款に違反する場合
 ②著しく不公正な方法で行われる場合
において、株主が不利益を受けるおそれがあるときに認められる。

  • 例えば、
    (1)株主総会や取締役会の決議を欠く募集株式の発行
    (2)一定の株主の議決権割合の低下を目的とした発行、など


新株発行「無効の訴え」、自己株式処分「無効の訴え」

募集株式の発行等に無効原因がある場合は、
訴えをもってのみ」その無効を主張できる

訴えを提起できるのは、
株主、取締役、清算人、執行役、監査役 に限られる。

提訴期間は、行為の効力発生の日から
公開会社は「6か月」以内、非公開会社は「1年」以内

  • 無効原因についての条文の定めはないが、無効が確定すると新株主や第三者に
    不測の事態が発生するおそれがあるため、無効原因となる事由は「狭く」解釈される。
    *上記の(1)(2)は、無効原因とならないと解釈される。
    *発行可能株式総数を超える発行、募集の通知を欠く発行などは、無効原因となりうる。

無効判決が確定すると
第三者に対しても効力を有し(対世効
発行した株式は将来に向かって無効となる(将来効)。


新株発行・自己株式処分「不存在確認の訴え」

新株発行や自己株式処分に実態がないものとされる場合、
その外観を除去するため、「不存在確認の訴え」が認められる。

提訴権者、提訴期間についての規定はない。

もともと存在しないことを確認するものであるため、将来効の規定は適用されない。



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