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特定物債権 (民法

行政書士試験ランクB

特定物債権とは

取引において、取引の当事者が物の個性に着目したものを「特定物」といい、
特定物の引渡しを目的とする債権を「特定物債権」という。

*物の個性に着目しないものを「不特定物」(種類物)といい、
 不特定物の引渡しを目的とする債権を「特定物債権」(種類物債権)という。

例えば、「あなたが持っている、このギブソンのギター」というように
1つの物に狙いを定めて、その個物だけを目的とする場合を「特定物」という。


債務者の善管注意義務

特定物債権の目的物は、
当事者にとっては客観的性質がどうであろうとこの世に一つしかない物である。

よって、債務者は、特定された個物を善良な管理者の注意で保管し、引渡さなければならない。

特定物は、他の物で代用することはできないのである。

そのままの状態で引渡す

逆に言えば、引渡すべき物が他の物で代用できない個物である以上、
その物に何らかの瑕疵があったとしても、
それを引き渡せば、債務を履行したことになる。


(特定物の現状による引渡し)
民法483条 
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。


債務者は、特定物を「そのままの状態で」引き渡せばよい、ということになる。

特定物の滅失⇒債務消滅


[民法534条]
特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する
2 不特定物に関する契約については、第401条第2項の規定よりその物が確定した時から、前項の規定を準用する。


特定物が何らかの理由で滅失した場合は、引渡し債務は「消滅」する
( 代替物が考えられない以上、他の同種の物を調達し、引渡す必要はない。)

なお、特定物の危険負担(不可抗力により特定物の引渡しができなくなった場合)は、
債権者主義(債権者の負担となる)である。

ただし、債務者の「履行遅滞中」に不可抗力により目的物が滅失した場合は、
債務者が、債務不履行の責任を負う。



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