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取消訴訟・概要 (行政事件訴訟法

行政書士試験ランクA

行政事件訴訟法において、「取消訴訟」には以下の2つがある。

  • 「処分」の取消しの訴え
    ・・・行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟
  • 「裁決」の取消しの訴え
    ・・・審査請求の裁決、異議申立ての決定、その他の不服申し立てに対する処分
       の取消しを求める訴訟

取消訴訟の「対象」

行政事件訴訟法において
処分の取消しの訴えにおける「行政庁の処分その他公権力の行使」とは
「どのようなものをいうか」が問題になる。
(いかなる行為が取消訴訟の対象となるか、という問題・・・行政処分性)

《取消訴訟の対象となるもの・ならないもの》

取消訴訟の
対象と「なる」もの
行政庁の行政行為
・国民の自由を拘束する権力的・継続的な「事実行為」
 (直接強制、即時強制など)
対象と
ならないもの
命令の制定、行政契約、行政指導 など
行政内部の行為
(通達、下級行政機関に対する認可など)

*ただし近年では、命令の制定、行政計画(土地利用計画)、行政指導などにおいて
 処分性を認め、取消訴訟の対象とするとの判例も出ている。
 具体的状況により、原告の救済手段として取消訴訟が適切かどうかを判断し、
 処分性の範囲を拡大するという方向にあると考えられている。


取消訴訟と不服申立て

行政事件訴訟法に基づく「取消訴訟」と
行政不服審査法に基づく「不服申立て」の、選択。

《「取消訴訟」と「不服申立て」》

原則
自由選択主義
どちらを選択してもよい
(審査請求ができる場合でも、
 直ちに、取消しの訴えを提起できる)
例外個別法において
「審査請求の裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起できない」旨の定めがある場合は、審査請求前置主義となる。

ただし、この場合でも、以下の場合は、裁決を経ないで、取消訴訟を提起できる。
 ①処分、処分の執行、処分の続行により生じる
   著しい損害を避けるため緊急の必要がある場合。
 ②審査請求から3カ月が経過しても裁決がない場合。
 ③その他裁決を経ないことにつき正当な理由がある場合。


「処分」の取消訴訟 と「裁決」の取消訴訟

行政事件訴訟法における「処分」の取消訴訟と、「裁決」の取消訴訟では
争える内容に差異がある。

《「処分」の取消訴訟 と「裁決」の取消訴訟》

原則
原処分主義
処分の違法性を争うときは、処分の取消し訴訟を提起する。
(これを原処分主義という)
(「処分の違法」を理由として
 「裁決の取消しの訴え」を提起することはできない)
(裁決に固有の違法がある場合に、裁決の取消しの訴えを提起する)
例外個別法において
「裁決の取消しの訴え」のみを提起できるとされている場合は、
裁決取消訴訟において、原処分の違法を主張する



「行政事件訴訟法」関連ページ

行政事件訴訟法
☆取消訴訟① 概要 現在のページ
取消訴訟② 要件
取消訴訟③ 審理
取消訴訟④ 執行停止
取消訴訟⑤ 判決と効力

無効等確認の訴え
不作為の違法確認の訴え
義務付け訴訟
差止訴訟 
当事者訴訟 
客観訴訟

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