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行政事件訴訟法・総則 (行政事件訴訟法)
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行政事件訴訟制度
他人の違法な活動によって自己の権利利益の侵害を受けた者は、裁判所に訴え、
自己の権利利益の救済を求めることができる。(憲法32条の裁判を受ける権利)
同様に、国や公共団体等の違法な行政活動によって自己の権利利益が侵害される場合、
国民は、行政活動の違法を争い、権利利益の救済を求めて裁判所に出訴することができる。
この原理の下で整備されてきたのが行政訴訟制度であり、
1948年に「行政事件訴訟特例法」が、1962年に現在の「行政事件訴訟法」が制定された。
そして、2004年には、
取消訴訟の原告適格の拡大、義務付け訴訟・差止訴訟の法定、出訴期間の延長(3カ月⇒6か月)など
「より実効的な救済手続の整備」を目指し、改正がなされた。
行政事件訴訟法の「種類」
《行政事件訴訟法の種類》
行政事件 訴訟 | 主観訴訟 | 抗告訴訟 | 取消訴訟 (処分の取消しの訴え) (裁決の取消しの訴え) |
---|---|---|---|
無効等確認の訴え | |||
不作為の違法確認の訴え | |||
義務付けの訴え | |||
差止めの訴え | |||
無名抗告訴訟 (法定外抗告訴訟) | |||
当事者訴訟 | 形式的当事者訴訟 | ||
実質的当事者訴訟 | |||
客観訴訟 | 民衆訴訟 | ||
機関訴訟 |
主観訴訟と客観訴訟
行政事件訴訟法は、「主観訴訟」と「客観訴訟」に2分類される。
《主観訴訟と客観訴訟》
主観訴訟と客観訴訟 | |
---|---|
主観訴訟 | 原告となる者の主観的権利利益の保護を目的とする訴訟 (抗告訴訟と当事者訴訟がある) |
客観訴訟 | 個人の権利利益とは別に、 行政活動の適法、法秩序の維持等を目的とする訴訟 (これを認める特別の法律がある場合のみ認められる) |
訴えの定義
行政事件訴訟法において、
「訴え」は、以下の通り、分類・規定されている。 (⇒行政事件訴訟法1章)
《訴えの定義》
抗告訴訟 | 行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟 |
処分の取消し の訴え | 行政庁の処分 その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟 |
裁決の取消し の訴え | 審査請求、異議申立てその他の不服申し立てに対する 行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しを求める訴訟 |
無効等確認の訴え | 処分若しくは裁決の 存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟 |
不作為の違法確認の訴え | 行政庁が法令に基づく申請に対し、 相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず これをしないことについての違法の確認を求める訴訟 |
義務付けの訴え | 以下の場合において、 行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命じることを求める訴訟 ① 行政庁が一定の行為をすべきであるにかかわらず これがされないとき ② 行政庁に対し申請又は審査請求がされた場合において 当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにもかかわらず これがなされないとき |
差止めの訴え | 行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらず これがなされようとしている場合において、 行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟 |
当事者訴訟 | 〈形式的当事者訴訟〉 当事者間の法律関係を確認し、形成する 処分又は裁決に関する訴訟で 法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの 〈実質的当事者訴訟〉 公法上の法律関係に関する確認の訴え その他の公法上の法律関係に関する訴訟 |
民衆訴訟 | 国・公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で 選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの |
機関訴訟 | 国・公共団体の機関相互における 権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟 |
行政事件訴訟法に 定めのない事項 | 行政事件訴訟法に定めのない事項については 民事訴訟の例による |
原告適格、要件
行政事件訴訟法において、
「原告適格」「要件」は、以下の通り、規定されている。
《原告適格、訴えの要件》
取消訴訟 | [原告適格] 取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限る。 処分・裁決の効果が期間の経過などによりなくなった後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。 [理由の制限] 自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。 |
無効等確認の訴え | 当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他法律上の利益を有する者で、 当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限る。 |
不作為の違法確認の訴え | 処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。 |
義務付けの訴え (1号・直接型) | [要件] 一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。 [原告適格] 行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限る。 |
義務付けの訴え (2号・申請型) | [要件] 以下のいずれかに該当する場合に限る。 ①申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分・裁決がされない。 ②申請又は審査請求を却下・棄却する旨の処分・裁決がされた場合で、 当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は、無効若しくは不存在であること。 [原告適格] 申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。 |
差止めの訴え | [要件] 一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。 ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。 [原告適格] 一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限る。 |
民衆訴訟 機関訴訟 (客観訴訟) | 民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。 |
「行政事件訴訟法」関連ページ
☆行政事件訴訟法 現在のページ
☆取消訴訟① 概要
☆取消訴訟② 要件
☆取消訴訟③ 審理
☆取消訴訟④ 執行停止
☆取消訴訟⑤ 判決と効力