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取消訴訟の「審理」 (行政事件訴訟法

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取消訴訟の「審理の流れ」

行政事件訴訟法の「取消訴訟の審理」は以下の通り行われる。

《取消訴訟の審理》

要件審理取消し訴訟が提起されると、まず訴訟要件を審理する。
要件が具備されて初めて本案審理に進むが
要件を欠く場合、補正が命じられ、
補正ができない場合、原告が補正をしない場合は、却下となる。
本案審理訴訟要件が具備されている場合、
処分取消しの請求の当否の審理を行う。


審理手続

行政事件訴訟法は、審理手続について職権証拠調べ(24条)、釈明処分の特則(23条の2)を除いては
特に規定がない。

行政訴訟も民事訴訟と同じく対審構造を持つ訴訟として、
民事訴訟法の諸原則が妥当すると考えられている。

例えば、民事訴訟においては、裁判の基礎となる資料の収集は当事者の権能・責任であり、
裁判所は、当事者が主張しない事実を取り上げることはできないし、
裁判所自ら証拠を収集することもできない。

これを「弁論主義」というが、行政訴訟においても基本的に、弁論主義で運用される。

*弁論主義に対置される「職権探知主義」は、
 裁判の基礎となる証拠の収集等を裁判所の権限に委ねるものである。

職権証拠調べ

行政事件訴訟法24条は、
裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる
と規定している。

これは、行政訴訟が弁論主義で運用されるものの、
当事者に完全に委ねるだけでは客観的な事実究明に欠けると判断される場合には
「裁判所が、職権で、証拠調べをすること」を認めるものである。

*これは職権探知主義を意味するものではなく
 あくまで弁論主義を補足するための補充的手段と解される。

釈明処分の特則

2004年の行政事件訴訟法改正において、「釈明処分の特則」(23条の2)が新たに追加された。

釈明処分の特則は、裁判所が、行政庁等に対し、
行政処分の理由・根拠等を明らかにする資料の提出を求めることができる制度である。

これは行政の説明責任を訴訟の場においても尽くさせる趣旨である。


取消訴訟の「併合」

行政事件訴訟法の規定に基づき、
取消訴訟は、以下の通り「併合」することができる。

《 取消訴訟の「併合」》

訴訟の移送取消し訴訟と、以下の訴訟(関連請求)が各別の裁判所に係属する場合、
相当と認めるときは、
裁判所は、申立てにより又は職権で
その訴訟を、取消し訴訟の係属する裁判所に移送することができる。
(ただし訴訟の係属する裁判所が高等裁判所であるときは、できない)
《関連請求》
・当該処分、裁決に関連する原状回復又は損害賠償の請求
・当該処分と1個の手続を構成する他の処分の取消訴訟
・当該処分に係る裁決の取消しの請求
・当該裁決に係る処分の取消しの請求
その他当該処分・裁決の取消しの請求と関連する請求
請求の
客観的併合
原告は、取消し訴訟を提起するにあたり、
関連請求に係る訴えを併合することができる
取消し訴訟の第1審裁判所高等裁判所の場合は、訴えの被告の同意を得なければならない
(被告が本案に対し弁論し、又は弁論手続において申述したときは、同意したものとみなす)
共同訴訟数人の原告が請求する場合、または数人の被告に対して請求する場合、
関連請求であるときは、併合し、
共同して提起し、又は訴えられることができる
第三者による
請求の
追加的併合
第三者は
取消し訴訟の口頭弁論の終結に至るまで
訴訟の当事者の一方を被告として、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起でできる
取消し訴訟が高等裁判所に係属しているときは、訴えの被告の同意を得なければならない
(被告が本案に対し弁論し、又は弁論手続において申述したときは、同意したものとみなす)
原告による
請求の
追加的併合
原告は
取消し訴訟の口頭弁論の終結に至るまで
訴訟の当事者の一方を被告として、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起でできる
  • 取消し訴訟と関連する損害賠償請求は併合して提起できる(追加できる)
  • 処分の取消し訴訟と関連する裁決の取消訴訟は併合して提起できる(追加できる)


訴えの「変更」

裁判所は
取消し訴訟の目的たる請求を
損害賠償その他の請求変更することが相当であると認めるときは、
請求の基礎に変更がない限り、
原告の申立てにより、決定をもって
訴えの変更を許すことができる

訴訟参加

行政事件訴訟法は、「第三者の訴訟参加」「行政庁の訴訟参加」について
以下の通り規定している。

《 訴訟参加 》

第三者の
訴訟参加
裁判所は
訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは
当事者、その第三者申立てにより、又は職権で
その第三者を訴訟に参加させることができる
あらかじめ、当事者及び第三者意見をきかなければならない
行政庁
訴訟参加
裁判所は
処分・裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、
当事者、その行政庁申立てにより、又は職権で
その行政庁を訴訟に参加させることができる
あらかじめ、当事者及び当該行政庁意見をきかなければならない



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