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学問の自由 (憲法)
行政書士・試験ランク A
学問の自由の「内容」
学問の自由の内容として、以下の4つがある。
1. 学問研究の自由
2. 研究結果発表の自由
3. 教授の自由
4. 大学の自治
「学問研究の自由」「研究結果発表の自由」が保障されるのは
学問研究が従来の考え方を批判して新しいものを生み出す人間の営為・努力であるため
特に高い程度の自由が要求されるためである。
憲法19条(思想・良心の自由)、憲法21条(表現の自由)で保障されたものを
さらに憲法23条で明文で規定した理由もそこにある。
先端技術研究の自由
近年、科学技術の発展に伴い、
学問研究が人の生命、健康、尊厳などに重大な脅威となるおそれがあるとされている。
(遺伝子組み換え技術、人クローン技術、原子力研究等)
先端技術研究も憲法23条により保障される、というのが基本となるが
人体・環境への重大な影響、危険予測の困難性、生命倫理の見地等から
一定の法的規制の必要性を主張する見解が主流となりつつある。
(一方で、過度の介入は避けるべきであり、自主規制に委ねるべきだとの見解もある。)
教授の自由
教授の自由は、大学その他高等学術研究機関において認められる。
ここで、小中高等学校の教師において教授の自由は認められるかが問題となる。
判例は、普通教育においても「一定の範囲で」教授の自由は「認められる」が、
教育の機会均等の観点、全国的に一定水準の教育を行う必要性などの「制約を受ける」
としている。(旭川学テ事件判例)
(⇒「教育を受ける権利」参照)
大学の自治
「大学の自治」とは、
大学における研究教育の自由を保障するため、
大学の内部行政・事務を自主性に任せ、国家からの干渉を排除するもの。
(大学の自治は、「制度的保障」であり、
固有権として認められたものではないと解されている。)
「大学の自治」の内容としては、以下がある。
① 「人事」の自治
② 「施設」管理の自治
③ 「学生」管理の自治
ここで、「学生は、大学自治の主体となるか」が問題となる。
- 「東大ポポロ事件」において
・学生は、大学自治の主体たるか
・学生集会への警察介入は、大学の自治を侵すことになるか
が争われた。
《東大ポポロ事件》
東大ポポロ事件(最大判昭38.5.22) | |
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争点 | ①学生は、大学自治の主体たるか ②学生集会への警察介入は、大学の自治を侵すことになるか |
判旨 | ①大学の自治を享有する主体は教授その他研究者であり、学生はそれらの自治の効果として学問の自由と施設の利用が認めれているに過ぎない(学生は、大学自治の主体ではない)。 ②学生の集会が、真に学問的な研究発表のものでなく、実社会の政治的社会的活動に当たる行為をする場合には、大学の有する特別な学問の自由と自治は享有しない。 よって、本件の場合、警察官が集会に立ち入ったことは、大学の学問の自由自治を侵すものではない。 |