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人権の私人間効力 憲法

行政書士・試験ランク A 

 
憲法の「人権規定」は、「国家と国民の間を規律すもの」であり、
「私人間の争い」は「私的自治に委ねられる」ものである。

ただし、現代においては、大きな社会的権力を持つマスコミや大企業などの私的団体による
人権侵害の危険性が高まっているといえる。

そこで憲法の人権規定を、国家と国民間だけでなく、
私人間にも適用しなければならなのではないかという問題が出てくる。


間接適用説

憲法の人権規定を直接私人間に適用すれば、私的自治の原則を害することとなり、
全く考慮しなければ、現代において人権保障が不十分となる危険がある。

そこで、社会的権力から国民の人権を保護するため、
民法など私法の一般条項を適用する際に憲法の趣旨を読み込んで解決するという方法が摂られる。
これを「間接適用説」という。


三菱樹脂事件(最大判昭48.12.12)

《特定思想を理由とする私企業の雇用拒否》

三菱樹脂事件(最大判昭48.12.12)
争点特定思想を理由とする私企業の採用拒否は
憲法14条憲法19条の侵害ではないか
判旨憲法の人権規定は、国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人間相互の関係を直接規律することを予定するものではない
私人間の人権侵害については、具体的な立法または民法の一般条項の適切な運用を通じて対応すべきである。
会社は、雇用の自由を有することから、特定の思想・信条を有することを理由として雇い入れを拒んだとしても、当然に違法とは言えない


日産自動車事件(最判昭56.3.24)

《男女の定年年齢差別》

日産自動車事件(最判昭56.3.24)
争点定年年齢の男女により差のある就業規則は、憲法14条に反しないか
判旨もっぱら女子であることを理由として女子の定年年齢を男子より低く定める就業規則は、性別による不合理な差別を行うものである。
憲法の人権保障は、私人間に当然に及ぶものではないが、憲法14条の規定の趣旨に鑑み民法90条の規定により無効である。

 *民法90条
  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
  



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