憲法・民法・行政法と行政書士 > 地方自治法 > 議会の組織・権限
議会の組織・権限 (地方自治法)
行政書士試験ランクA
地方自治法は、地方公共団体の「議会」の組織・権限等につき規定を定めている。
議会の設置
《議会の設置》
原則 | 普通地方公共団体に議会を置く。 |
---|---|
例外 | 町村は、条例によって、議会を置かず、 選挙権を有する者の総会を設けることができる。(町村総会) |
議員定数 | 議会の議員の定数は、条例で定める。 (地方自治法には、人口ごとの上限数が定められている) |
議員の任期 | 4年 |
議員の 兼職禁止 | 普通地方公共団体の議員は、以下と兼職できない。 ・衆議院議員、参議院議員 ・他の地方公共団体の議会の議員 ・地方公共団体の常勤の職員、短時間勤務職員 (非常勤の場合は兼職可) |
議長・副議長
議会は、議員の中から、議長・副議長を1人を選挙しなければならない。
・議長は、委員会に出席して発言することができる。
・議長・副議長は、議会の許可を得て辞職することができる。
・副議長は、議会が閉会中であれば、議長の許可で辞職できる。
議会の権限
地方自治法が定める「地方公共団体の議会の権限」は、以下の通り。
特に、地方自治法100条が規定する調査権は、議会に強力な権限を与えている。
《議会の権限》
議決事件 | 議決 すべきもの | 普通地方公共団体の議会は、以下の事件を議決しなければならない。 ・条例の制定、改廃 ・予算を定めること ・決算を認定すること (地方自治法で、その他列挙されている。下記参照。) 条例で、議会で議決すべきものを定めることができる。(追加できる) |
予算の増額 | 議会は、予算について、増額して議決することができる。 (ただし、長の予算提出権限を侵すことはできない) (一定事項の予算案の削除、減額の議決は、長により再議に付される) | |
調査権 | 調査 | 議会は、事務に関する調査を行い、 関係人の出頭、証言、記録の提出を請求できる。 (関係人が、正当な理由なく、上記を拒否した場合、 6か月以下の禁錮、10万円以下の罰金に処せられる) (関係人が、職務上の秘密である旨の申立てによる拒否があったときは、 当該官公署に承認を要請する等ができる) ・一定の事務には、この調査権は及ばない。(⇒除外規定) |
議員の派遣 | 議会は、調査のため必要なとき議員を派遣できる。 | |
政務活動費 | 条例の定めにより、議員の調査研究費として政務調査費を支給できる。 (政務調査費に係る収入・支出の報告書を議長に提出する) | |
監査 | 議会は、監査委員会に対し、事務に関する監査を求め、報告を請求することができる。 | |
検査 | 議会は、事務に関する書類・計算書を検閲し、長、委員会・委員の報告を請求して 事務の管理、議決の執行、出納を検査できる。 | |
意見書の 提出 | 議会は、当該地方公共団体の公益に関する事件につき 意見書を国会、関係行政庁に提出できる。 |
専門的知見の活用
議会は、議案の審査、事務に関する調査のために必要な「専門的事項にかかる調査」を
学識経験を有する者等にさせることができる。
懲罰権
議会は、議会自身の意思で、議会の組織や運営を規律する権限を持ち、これを「自律権」という。
議会の自律権により、議会は、
法律、会議規則に反した議員に対し、議決により「罰則」を科すことができる。(懲罰権)
懲罰には、以下の4種類がある。
① 公開の議場における「戒告」
② 公開の議場における「陳謝」
③ 一定期間の「出席停止」
④ 「除名」
懲罰の動議をするには、議員定数の「8分の1」以上の者の発議によらなければならない。
原則として、半数以上の出席により、過半数で決する。
ただし、「除名」については、
議員の「3分の2」以上が出席し、「4分の3」以上の同意がなければならない。
議会の議決すべき事項
普通地方公共団体の議会は、以下の事件を議決しなければならない。
- 条例を設け、改廃すること。
- 予算を定めること。
- 決算を認定すること。
- 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、
「地方税の賦課徴収」、分担金・使用料・加入金・手数料の「徴収」に関すること。 - 政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
- 条例で定める場合を除くほか、
財産を、交換し、出資の目的とし、支払手段として使用し、
又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、貸し付けること。 - 不動産を信託すること。
- 政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
- 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
- 法律、政令、条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
- 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
- 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
- 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
- その他法律又はこれに基づく政令により議会の権限に属する事項。
行政書士試験の「地方自治法」 ページ案内
★行政書士の「地方自治法」 トップ
☆地方自治法・総則
☆地方公共団体の種類・変更
☆直接請求
☆議会の組織・権限 現在のページ
・100条調査権
・100条調査の除外事務
☆議会の運営
・定例会・臨時会