行政書士試験・合格トップ > 行政法 > 行政行為とは

行政書士・試験のための「行政法・用語」

行政行為 

行政行為とは

多くの法令では、
「その法令の定める要件に従って、行政機関が私人の権利等について決定することによって
 具体的に権利・義務の変動が起り、また、権利等の行使が可能になる」
という仕組みがとられている。

例えば、
「道路交通法所定の要件を満たした者に対して
 都道府県公安委員会が運転資格を認める決定をする」ことにより
その者は、初めて運転が許されることとなる。

行政行為とは、このように
私人の権利・義務等に関する行政機関の決定のことをいい、
行政行為によって具体的に私人の権利義務の変動が生じる。

判例における行政行為の定義

行政行為について判例は以下のように定義している。
(行政行為は理論上の概念であるが、学説においてもこの判例に従って説明している)


行政行為とは、
「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち
 その行為によって、 
 直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが
 法律上認められているもの」
をいう。  (最判昭39.10.29)


国または公共団体の行為
…行政行為とされるのは、国や地方公共団体の機関などの行為であり、
 私人や民間企業の行為は含まれない。
 (特殊法人等の公私中間的な法人については個別の法令の定めによる)

公権力の行使
…公権力の行使には、
 相手の意に反して、私人の権利自由を制限したり義務を課したりするものだけでなく
 相手に権利や義務を与えるものも含まれる。
 つまり、ここでいう公権力は、
 「相手方との合意によることなく、法令の付与した権限によって、
  行政機関が自らの責任で決定すること
 を意味すると解されるのである。

国民の権利義務の形成・確定
…国民の権利義務を形成または確定するものを行政行為と呼ぶ。
 例えば、
 違法建築物の除去命令(相手方に作為義務が発生)や
 年金の支給裁定(相手方に給付を受ける権利が発生)、
 飲食店等の営業許可(事業を適法になし得る権利が発生)
 などが行政行為である。


行政立法、事実行為、行政指導は、行政行為か?

行政立法は行政行為か?

政省令の制定などの行政による立法活動(行政立法)は、
国民の権利義務に影響を与えることになり、
とくに法規命令の場合は権利義務のルールを定めるものとなる。

では、行政立法は行政行為であるだろうか?

行政立法により、国民の権利義務に関するルールが定められたとしても
その影響は間接的または抽象的なものであり、
「個別の私人に対して」権利を与え、義務を課すものではない。

行政行為とは
個別の私人に対して、法令に従い、権利義務を確定・形成する具体的決定であり、
一般ルールである行政立法とは区別される。

事実行為は行政行為か?

代執行による建物の取り壊し、外国人の退去強制、強制入院など
法令により、行政機関には様々な実力行使が認められている。

では、こうした強制執行、即時強制などの事実行為は、行政行為だろうか?

例えば、外国人の退去強制の執行の場合、
執行により、その外国人の身柄は、物理的に国外に移動されるが
その行為によって、権利が制約されたり、義務が発生したりするわけではない。

行政行為とは、権利義務の形成・確定するものをいうのであり、
事実行為とは区別される。

行政指導は行政行為か?

行政機関による、私人に対する権利義務に関する意思表示であっても、
「それに従うこと」が法令によって相手方に課されるものでない限り、行政行為ではない。

つまり、任意の協力を前提とした行政機関の意思表示(助言、勧告、行政指導)は
行政行為とは区別される。


戻る


行政書士試験の「行政法」 ページ案内

行政法 トップ
行政法序論 
行政主体と行政機関
権限の代行
行政行為

行政行為の「瑕疵」
附款
行政指導その他
行政立法
行政上の強制手段

憲法・民法・行政法と行政書士 トップ