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権限の代行 (行政法)
権限の代行とは、
行政庁(合成機関)が、他の行政機関に、その権限の全部又は一部を行使させることをという。
権限の代行には、①権限の委任、②権限の代理、③権限の専決・代決 がある。
権限の委任 | 権限を有する行政庁が 権限の一部を他の行政機関に委譲すること | |
権限の代理 | 行政庁の持つ権限の全部又は一部を 他の行政機関が代わりに行使すること | 授権代理 |
法定代理 | ||
権限の専決・代決 | 権限を有する行政庁が、 補助機関に、事務処理の決済権限を与えること |
権限の委任
権限の委任とは、権限を有する行政庁が、その権限の一部を他の行政機関に委譲し、
その行政機関の権限として行使させることをいう。
- 権限を委任する場合、委任した行政機関の権限はなくなる。
(その権限を、他の行政機関に移してしまう)- 法律上の根拠が必ず必要。
- 国民への公示が必要。
- 権限の全部、又は主要な部分を委任することはできない。
- 委任を受けた行政機関(受任機関)は、自己の名と責任でその権限を行使する。
権限の代理
権限の代理とは、
行政庁の持つ権限の全部又は一部を他の行政機関が代わりに行使するこという。
- 権限は、本来の行政機関にある。
(代理機関は、代わりに行使するだけ)
- 代理機関は、顕名が必要。
(代理関係があること、被代理機関はどこなのかを明示する)
権限の代理には、
・授権代理(行政庁の授権に基づいて代理権が与えられる)
・法定代理(法律の規定に基づいて代理権が与えられる)
がある。
《 権限の委任 と 権限の代理 》
- | 権限の代理 | 権限の委任 | |
授権代理 | 法定代理 | ||
法令の根拠 | 不要 | 必要 | |
権限移動 | なし | 移動する | |
顕名 | 必要 | 不要 | |
国民への公示 | 不要 | 公示が必要 | |
被代行機関の 指揮監督 | 可 | 場合によって | できない |
権限の専決・代決
権限の専決(代決)とは、
権限を有する行政庁が、補助機関に、事務処理の決済権限を与えることをいう。
(補助機関が、行政庁の印を公文書に押印して、案件を処理すること等)
権限の監督
権限の監督とは、
上級行政機関が、系統下の下級行政機関を、指揮監督することをいう。
- 指揮監督権は、上級行政機関が下級行政機関の権限行使の適法性、行政内部の意思統一を確保するための制度。
指揮監督の方法には、
①監視権、②許認可権、③訓令・通達権(指揮命令権)、
④取消・停止権、⑤権限争議決定権
がある。
監視権 | 上級行政機関が、下級行政機関の事務の執行を調査したり、事務の執行を報告させる権限 |
許認可権 | 上級機関が下級機関に、あらかじめ権限行使について許可や認可を求めるよう要求する権限 |
訓令・通達権 (指揮命令権) | 上級機関が下級機関に、行政行為の内容を指示するために発せられる命令 (書面の形式によるものを通達という) (法律の根拠がなくても、訓令・通達権により指揮監督できる) |
取消・停止権 | 上級行政機関が、下級行政機関の違法・不当な行為を職権により取消し、停止する権限 (法律の根拠がなくても行使できる) |
権限争議決定権 | 下級行政機関相互の権限の有無・範囲について争いがある場合、上級機関がそれを解決する権限 |