行政書士試験・合格トップ > 行政法 > 行政手続法・申請に対する処分

申請に対する処分 (行政手続法

行政書士・試験ランク S

申請とは、
行政庁の許可、認可、免許その他自己に対する利益を付与する処分を求める行為

行政庁は、行政手続法に基づき
申請に対し、諾否の応答をしなければならない。

申請に対する「審査・応答」

[行政手続法7条]
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式と要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない


  • 行政庁には、申請が事務所に到達することにより、
    申請の形式・内容の審査義務が発生する。
  • 行政庁は、申請に形式的不備がある場合は、速やかに、
    補正を求めるか、許認可等を拒否しなければならない。


申請に対する「標準処理期間」

[行政手続法6条]
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない


  • 行政庁は、申請から許認可等の応答をするまでの標準的な期間
    定めるよう努めなければならない。(努力義務)
  • 標準処理期間を定めた場合は、公にしておかなければならない。(法的義務)


申請の「審査基準」

[行政手続法5条]
行政庁は、審査基準を定めるものとする
2 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない


  • 申請に対する審査基準を定めなけばならない。(法的義務)
  • 審査基準は、できる限り具体的なものとしなればならない。
  • 審査基準は、適当な方法によって公にしておかなければならない。(法的義務)


申請を拒否する場合の「理由の提示」

[行政手続法8条]
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならい。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない


  • 申請に対する拒否の処分においては、その理由を示さなければならない。(法的義務)
    • 審査基準の客観的指標等により拒否の理由が明らかである場合は、
      申請者が求めたときに理由を示せばよい。
  • 申請の拒否処分を書面でするときは、理由も書面で示さなければならない。(法的義務)

申請者に対する「情報の提供」

[行政手続法9条]
行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通し示すよう努めなければならない
2 行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供努めなければならない


  • 行政庁は、申請の審査の進行状況処分時期の見通しを、
    申請者の求めに応じて示すように努めなければならない。(努力義務)
  • 申請書の記載・添付書類等、必要な情報提供に努めなければならない。(努力義務)


公聴会の開催等

[行政手続法10条]
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。


  • 法律の定めによって
    申請に対する処分に際して申請者以外の者の利害を考慮することが義務付けられている場合、
    公聴会等の方法により、申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう
    行政庁に努力義務が課されている。


行政書士試験に合格する
申請に対する処分のまとめ》

内容1内容2義務
審査基準審査基準の定め法的義務
公にすること法的義務
標準処理期間標準処理期間の定め努力義務
公にすること標準処理期間を定めたときは、法的義務
審査・応答審査の開始申請が到達したとき、遅滞なく審査する義務
申請の不備に対する対応相当の期間を設けて補正を求め、
又は申請を拒否する義務
理由の提示申請を拒否する場合理由を示すことは、法的義務
審査基準が客観的指標により
明確な場合
申請者の求めがあった時に示す
処分を書面でする場合拒否理由を、書面で示す法的義務
情報提供審査の進捗状況、
処分時期の見通し
申請者の求めに応じる努力義務
記載・添付資料について申請者の求めに応じ、情報を提供する努力義務
公聴会申請者以外の者の利害を
考慮すべきことが
法令で定められているとき
公聴会等を開催する努力義務


行政書士試験に合格する
《法的義務と努力義務》

法的義務・申請が行政機関に到達した場合、遅滞なく審査する義務。
・申請に不備がある場合、補正を求め、又は、拒否する義務。
審査基準定め、それを公にする法的義務。
拒否処分の場合、理由を提示することは法的義務。
(審査基準が数値等で明確な場合は、申請者の要請があったとき)
・書面で処分する場合、理由も書面でする法的義務。
努力義務・申請にたいする標準処理期間の定めは、努力義務。
(定めた場合は、公にする法的義務)
・申請者等への情報の提供は、努力義務。
(記載内容、添付書類、審査の進行状況、処分時期の見通し)
・申請者以外の者の利害の考慮が法的に明示されている場合は、
 申請者以外の者の意見を聴く公聴会等を開催する努力義務。



「行政手続法」関連ページ

行政法トップ

行政手続法・序論
☆申請に対する処分 現在のページ
不利益処分

聴聞
弁明の機会
行政指導
届出
意見公募手続

憲法・民法・行政法と行政書士 トップ