行政書士試験・合格トップ > 行政法 > 不利益処分(行政手続法)
不利益処分 (行政手続法)
行政書士試験ランク S
不利益処分とは
不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、
特定の者に対して直接に義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。
(営業停止処分、営業許可の取消、違法建築物の除去命令など)
但し以下のものを除く。
・事実上の行為 (および、事実上の行為をするための手続としての処分)
・申請により求められた許認可等を拒否する処分
・相手方の事前同意の下に行われる処分
注)営業許可「申請」に対する「不許可」処分は、「不利益処分」にあたらない。
不利益処分の「理由の提示」
[行政手続法14条]
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、理由を示さないで処分すべき差し迫った理由がある場合は、この限りではない。
2 行政庁は、前項ただし書きの場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3 不利益処分を書面でするときは、前2項の理由は、書面により示さなければならない。
- 不利益処分をする場合の「理由の提示」は、法的義務。
- 差し迫った必要がある場合は、理由の提示なく処分し、
処分後相当の期間内に理由を示さなければならない。
(所在不明等、理由示すことが困難な場合を除く)
- 差し迫った必要がある場合は、理由の提示なく処分し、
- 不利益処分を書面でするときは、理由の提示も書面で行う法的義務。
不利益処分の「処分基準」
[行政手続法12条]
行政庁は、処分基準を定め、かつこれを公にしておくよう努めなければならない。
2 行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、当該不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
- 不利益処分の処分基準を定め、これを公にすることは、努力義務。
- 処分基準はできる限り具体的なものとする。
- 処分基準はできる限り具体的なものとする。
「不利益処分」と「申請に対する処分」の規定の差異
行政書士試験に合格する・行政手続法
《「申請に対する処分」と「不利益処分」》
申請に対する処分 | 不利益処分 | |
基準の定め (審査・処分) | 法的義務 | 努力義務 |
基準の公開 | 法的義務 | 規定なし |
理由の提示 | 法的義務 | |
処分を書面でする場合 | 理由を「書面」で示す法的義務 |
*「基準の定め」「基準の公開」については、
「申請に対する処分」においては法的義務であるが、
「不利益処分」においては努力義務である。(公開については規定があない)
これは、不利益処分の場合(例えば違法営業行為による許認可の取消しなど)、
違反内容・処分事由が多様であらかじめ基準として明確化することが困難であることや
基準を事前に明らかにすることで脱法行為、隠蔽行為を誘発するおそれがあること
などの事情による。
不利益処分の「意見陳述の手続」
行政手続法に基づき「不利益処分の名宛人」には、
「聴聞」と「弁明の機会」という意見陳述の機会が与えられる。
(この手続が省略される規定もある。)
行政書士試験に合格する・行政手続法
《不利益処分と意見陳述の手続》
不利益処分と意見陳述手続 | ||
---|---|---|
聴聞 | 以下に該当するとき聴聞を行う。 (行政手続法13条1号の規定) イ)許認可等を取り消す ロ)資格や地位を、直接にはく奪する ハ)名あて人が法人の場合 役員の解任・従事する者の解任・会員の除名 を命ずる 二)その他、行政庁が相当と認めるとき | 口頭審理 |
弁明の機会 | イ)から二)に該当しないとき 弁明の機会を与える。 | 書面審理 |
意見陳述手続の 省略 | 以下に該当するときは、聴聞・弁明の機会は省略する。 ①公益上、緊急に不利益処分をする必要がある場合 ②法令上必要とされる資格がなかったこと等が判明した場合に 行われる不利益処分の場合 ③施設・設備の設置、維持、管理、製造における物の管理について 遵守すべき事項が法令で明確であり、 当該基準に従うことを命ずる不利益処分の場合 ④納付すべき金銭の額の決定、納付の命令、 金銭の給付決定の取消し、制限をする不利益処分の場合 ⑤不利益処分によって課される義務が著しく軽微な場合 |