行政書士試験の学習、合格する

未成年者の契約取消

行政書士試験の学習 > 民法 > 未成年者の契約取消し

未成年者の契約の取消し

《ケーススタディ》


未成年者Aは、自分が所有する乗用車を、Aを当初から成年者と信じていたBに売却した。
Aは、両親C、Dに借りてもらったマンションに一人暮らしをしている。
しかし、乗用車売却を後で知ったC、Dは、これを許さず、契約を取消し、
Bに自動車の返還を求めている。

Bは、自動車を返還する代わりに、代金と利息分の返還を求め、
「これがなされないならば自動車返還はできない」と抗弁。

Aはすでに受取ったお金を使いはたしている。

このようなケースで、車の返還、代金返還はどのようになるか?



制限行能力者の契約

制限行為能力者」とは、成年被後見人、被保佐人、被補助人、未成年者など
精神能力が通常の人よりも劣っているため、
単独では、完全に有効となる契約などの行為ができない者をいう。

民法においては、制限行為能力者に契約などの財産行為を単独でさせた場合
一方的な不利益を被る可能性があるため、
一定の保護者を付け、保護者の同意などがないまま、契約がなされた場合は
これを「取消すことができる」といった保護規定を設けている。 (民法5条民法9条

基本的には、契約は、一旦締結したなら
詐欺や強迫による契約などの特別な事情がない限り
一方的にこれをやめにすることはできない。

ただし、上記のケースの場合、
未成年者Aが、親の同意を得ないまま車を売却している。

よって、たとえBが、Aを成年者と信じていたとしても
(Aが、Bに対して自分は成年者であると偽っていたなどの場合は別。⇒民法21条
Aおよび保護者C、Dは、
当該契約を自由に取消すことができる。民法5条


契約取り消しと効力

契約が取り消された場合、「契約ははじめからなかったもの」とみなされる。(民法121条

そうなると、契約により「引き渡された物」や「支払ったお金」は
同時に返還されることになる。 (民法533条

しかし、もし未成年者Aが、車を売ったお金をすぐに浪費し使い果たしていた場合、
お金を返還することができず、
お金を返還できない以上、Bは同時履行の抗弁権を主張し、車の返還を拒むことになる。

これでは、民法の「制限行為能力者(未成年者)保護」の規定は機能しない。

上記ケースは、未成年者Aが、保護者の同意を得ないままに行った契約である。

そこで民法121条但書の規定により、
制限行為能力者の契約を取消す場合においては

制限行為能力者(未成年者など)が返還する範囲は
「現に利益を受けている限度」で足りる、としている。

つまり、
未成年者Aが、受取った金をすでに浪費し、何も残っていない場合には、
Aは「何も返さなくてもよい」ということになる。


「現に利益を受けている限度」とは?

ここで「現に利益を受けている限度」をどのようにとらえるかが問題となる。

「受取った物(お金)の残り(残金)」
と単純にとらえることはできない。

まず、お金が物に転換されている場合は、
その物が、「現に利益を受けている」物ということになる。

つぎに、お金を「必要な生活費に充てた」場合は?

この場合は、もし車の代金を充てていなければ
預金をおろして使うなど、他の資金を充てざるを得ないはず、ということになる。

車の代金として受け取ったお金がなければ
預金がその分減っていたはずであるから
「必要な生活費に充てた」場合は、「現に利益を受けている」ということになる。

つまり、受取ったお金を
計画的・合理的に使った場合は「現に利益を受けている」とされ、返還しなければならず
ムダ遣い・浪費してしまった場合は、「返還の必要がない」ということになる。

一般道徳的には首をかしげたくなるかもしれないが、
未成年者(制限行為能力者)を保護するために民法はこのように定めている。




戻る
民法トップ
行政書士の憲法・民法・行政法TOP

民法のケーススタディ

powered by Quick Homepage Maker 5.0
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional