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不服申立ての手続・要件 (行政不服審査法

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不服申立ての要件

行政不服審査法における「不服申立ての要件」は、以下の①~⑤がある。

不服申立ての要件
① 行政庁の「処分」「不作為」の存在
②「権限ある者」による申立て
③ 権限のある行政庁への申立て
④「申立て期間」内での申立て
形式手続の順守


処分・不作為の存在

行政不服審査法において、不服申立てをするためには、
行政庁の「処分」「不作為」が存在することが前提。

ただし、以下の場合は、申立てできない

  • 行政不服審査法その他の法律・条例により
    不服申立てが「できない」「除外」とされているもの。
  • 行政不服審査法に基づいてされた処分

再審査請求は、以下の場合にのみ請求できる。

  • 法律・条例により再審査請求ができるとされている処分。
  • 行政庁の「委任」による処分についての審査請求の審理が、「原権限庁」により行われた場合。


「権限ある者」による申立て

申立てをする「権限ある者」とは、
処分などに対して不服申立てをする法律上の利益を有する者
(処分と関係のない第三者や国民一般は、申立てできない。)

不服申立てができる「権限ある者」
当事者能力自然人
法人
法人格をもたない社団・財団で、代表者・管理人の定めのあるもの
当事者適格処分により自己の権利若しくは法律上保護される利益を侵害され
又は必然的に侵害されるおそれがある者


総代・代理人

行政不服審査法において、総代・代理人は、
一部の例外を除き、不服申立てに関する一切の行為をすることができる。

《総代と代理人》

総代多人数が共同して不服申立てをしようとするときは、
3人をこえない総代互選することができる。
・審査庁は、必要がある場合は総代の互選を命ずることができる。
・総代は、不服申立ての取下げを除き
 不服申立てに関する一切の行為をすることができる。
・総代が選任されたときは
 総代を通じてのみ不服申立てに関する行為をすることができる。
・2人以上の総代が選任されている場合でも、
 行政庁の通知等は、1人の総代に対して行えば足りる。
・共同不服申立人は、総代を解任できる
代理人不服申し立ては、代理人によってすることができる。
・代理人は、不服申立人のために、
 不服申立てに関する一切の行為をすることができる。
・ただし、不服申立ての取下げは
 特別の委任を受けた場合に限り、することができる。

・法人格のない社団・財団の代表者管理人
総代
代理人特別の委任をした場合は、その内容)
について、書面で証明しなければならない。

代表者、管理人、総代、代理人がその資格を失った場合は、
不服申立て人は、書面で
その旨を審査庁(処分庁・不作為庁・再審査庁)に届出なければならない。

権限ある行政庁に対して

不服申立てを処理する権限のある行政庁(処分庁、不作為庁、審査庁、再審査庁)に
不服申立てがなされていること。

審査請求は、処分庁を経由して行うことができる。
(この場合、処分庁は、直ちに、審査請求書・審査請求録取書を、審査庁に送付すること)
(この場合、期間の計算は、処分庁に提出・処分庁が録取した時に、請求があったものとみなす)


「申立て期間」内に

不作為」に対する不服申立ては、不作為が続いている間は、いつでもできる。

処分」に対する不服申立て期間は、以下の通り。

処分に対する申立て期間

--処分・裁決を
知った日の翌日から
処分・裁決が
あった日の翌日から
原則審査請求60日以内1年以内
異議申立て60日以内1年以内
異議申立てをしたときの
審査請求
30日以内1年以内
再審査請求30日以内1年以内
例外天災などやむを得ない理由があるときは、
この限りでない。
その理由がやんでから1週間以内にしなければならない
正当な理由がある場合は
この限りでない。


不服申立ての「手続」

不服申立ての方式

不服申し立ては、書面(不服申立書)を提出してしなければならない。

  • 他の法律・条例に、口頭ですることができる旨の定めがある場合は、この限りでない。

不服申立書は、正副2通を提出しなければならない。

  • 異議申立ての場合は、1通で良い。
  • 電子情報処理組織を使用して提出した場合は、正副2通が提出されたものとみなす。


審査請求書の記載事項

審査請求書」には、以下の事項を記載しなければならない。

審査請求書の記載事項
・審査請求人の氏名年齢または名称住所
・審査請求に係る処分
・審査請求に係る処分があったことを「知った」年月日
審査請求の趣旨・理由
・処分庁の教示の有無その内容
審査請求の年月日
・審査請求人が法人・社団・財団の場合、
 総代を互選した場合、代理人が審査請求する場合は、
 代表者・管理人・総代・代理人氏名・住所
・3カ月を経ても異議申立ての決定がなされず、審査請求する場合は
 「異議申し立てをした年月日」
・異議申立てを経ないで審査請求をする正当な理由があり、審査請求する場合は
 その「正当な理由」
・審査請求書に、審査請求人(代表者・管理人・総代・代理人)は
 押印しなければならない。

口頭で審査請求する場合は、上記を陳述しなければならない。
陳述を受けた行政庁は、
これを録取し、陳述人に読み聞かせ、誤りのないことを確認し、
陳述人に押印させなければならない。


補正

審査請求が不適法であって補正することができるものであるときは、
審査庁は、相当の期間を定めて、その補正を命じなければならない


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