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親子 ( 行政書士の「民法」)
行政書士・試験ランク A
身分上の法律効果を発生させる法律行為を、身分行為という。
身分行為は、本人の意思を尊重することが要請される。
子
子は、
自然血族関係に基づく実子と、
法定血族関係に基づく養子
に分けられる。
実子 | 嫡出子 | 婚姻関係にある男女から生まれた子 |
非嫡出子 | 婚姻関係にない男女から生まれた子 | |
養子 | 養子縁組によって子となった者 (普通養子と特別養子に分けられる) |
嫡出子
嫡出子とは、婚姻関係にある男女間に、懐胎・出生した子をいう。
- 嫡出子には、推定される嫡出子と、推定されない嫡出子がある。
推定される 嫡出子 | 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定される。 | 「嫡出否認の訴え」によらなければ、嫡出子である身分を奪われない。 |
婚姻成立の日から「200日後」、又は、 婚姻の解消・取消の日から「300日以内」 に生まれた子は、 婚姻中に懐胎したものと推定される。 | ||
推定されない 嫡出子 | 推定は受けないが嫡出子である子 (婚姻成立後200日以内に生まれた子、 婚姻の解消・取消の日から300日後に生まれた子) | 「親子関係不存在確認の訴え」によって、 いつでも、誰からでも身分を覆すことができる |
推定の 及ばない子 | 妻が夫によって懐胎することが、およそ不可能な事実があるときに生まれた子 | |
二重の推定 が及ぶ場合 | 再婚禁止期間に再婚して子供が生まれた場合など 嫡出推定が重複する場合 | 「父を定める訴え」によって、 裁判所が子の父は前夫か後夫か決定する。 |
嫡出否認の訴え
「推定される嫡出子」である場合において、
夫は、子が嫡出子であることを否認できる。
(嫡出否認の訴え)
- 嫡出否認の訴えは、原則として夫だけが提起できる。
子の出生を知った時から「1年」以内に提起しなければならない。- 夫が成年被後見人である場合は、
後見開始の審判の取消し後、夫が出生を知った時から「1年以内」。
- 夫が成年被後見人である場合は、
- 嫡出否認の訴えの相手方は、「子」または「親権を行う母」
(子に意思能力がなく、母が死亡している場合は、家庭裁判所が「特別代理人」を選任) - 夫は、子の出生後、その嫡出であることを承認したときは、否認権を失う。
非嫡出子
非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子をいう。
父と非嫡出子の関係は、「認知」によって初めて発生する。
(母と子の親子関係は、分娩の事実により当然に発生する。)
認知
認知には、
① 父が、認知届を出すことによって行う「任意認知」
(遺言によって行うこともできる)
② 子(子の直系卑属等)が、認知の訴えを提起して行う「強制認知」
がある。
《任意認知と強制認知》
任意認知 | ①成年の子を認知する場合は、その子の承諾が必要。 ②成年被後見人、未成年者が認知するとき、法定代理人の同意は不要。 ③胎児を認知するときは、その母親の同意が必要。 ④死亡した子の認知は、その子に直系卑属がいる場合のみ認められる。 |
強制認知 | 子、子の直系卑属、これらの法定代理人は、認知の訴えを提起できる。 (訴えられるものが生存中は、いつでも訴えることができる。) (ただし、父の死亡後3年を経過すると、訴えを提起できなくなる) |
- 認知の効果は、出生に遡って発生する。
- 非嫡出子は、「法定相続分」が、嫡出子の「2分の1」である。
準正
準正とは、
「父母の婚姻」を原因として、非嫡出子が嫡出子となる制度をいう。
・婚姻準正 …認知された子が、父母の婚姻により嫡出子となる場合
・認知準正 …婚姻した父母が、子を認知したことにより嫡出子となる場合
利益相反行為
「親権を行う父または母と、その子の利益が相反する行為」
を、父または母が行った場合
⇒ 利益相反行為として無効となる。(民法826条)
(無権代理行為となる)
未成年者Aが相続により建物を取得した後に、Aの法定代理人である母Bが、自分が金融業者Cから金銭を借りるために、Aを代理して行ったCとの間の当該建物への抵当権設定契約は、利益相反行為、無権代理行為となる。
(たとえその子の養育費にあてる意図であってもダメ)