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行政書士・試験のための「行政事件訴訟法・条文」解説
行政事件訴訟法12条 (裁判所管轄)
第二章 抗告訴訟
第一節 取消訴訟
(管轄)
第十二条 取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2 土地の収用、鉱業権の設定その他不動産又は特定の場所に係る処分又は裁決についての取消訴訟は、その不動産又は場所の所在地の裁判所にも、提起することができる。
3 取消訴訟は、当該処分又は裁決に関し事案の処理に当たつた下級行政機関の所在地の裁判所にも、提起することができる。
4 国又は独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人若しくは別表に掲げる法人を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも、提起することができる。
5 前項の規定により特定管轄裁判所に同項の取消訴訟が提起された場合であつて、他の裁判所に事実上及び法律上同一の原因に基づいてされた処分又は裁決に係る抗告訴訟が係属している場合においては、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は第一項から第三項までに定める裁判所に移送することができる。
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取消訴訟の裁判所管轄
取消訴訟は、
「被告の普通裁判籍の所在地」または「処分庁、裁決庁の所在地」を管轄する地方裁判所
に提起するのが原則となる。
また、処分庁が国の地方出先機関である場合は
処分庁の所在地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。
特定管轄裁判所
被告が、「国」または「独立行政法人」等の場合は
「原告の」普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所
にも、提起することができる。(12条4項)
⇒これを「特定管轄裁判所」という。
例えば、被告が「国」の場合、
東京地方裁判所に提起できるほか
原告が兵庫県に住んでいる場合は大阪地裁にも提訴できる、ということになる。
(高等裁判所は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡 の8か所)
特定管轄裁判所の規定は行政事件訴訟法2004年(平成16年)改定により規定された。
その目的は、
①行政事件訴訟に詳しい裁判官を特定の裁判所に集中させることにより
裁判所の専門性を確保すること
②行政事件訴訟を利用しやすくすることにより、国民の便宜を図ること
にある。