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行政書士・試験のための「行政事件訴訟法・条文」解説
行政事件訴訟法11条 (被告適格)
第二章 抗告訴訟
第一節 取消訴訟
(被告適格等)
第十一条 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
2 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
3 前二項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。
4 第一項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例により記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を記載するものとする。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁
5 第一項又は第三項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。
6 処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第一項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。
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被告適格
取消訴訟の被告となるのは
処分・裁決を行った行政庁・裁決庁の所属する国または公共団体(行政主体)である。
例えば、税務署長の行った所得税構成処分の取消訴訟の被告は「国」であり、
都道府県知事が行った廃棄物処理施設の設置許可処分の取消訴訟の被告は、当該「都道府県」である。
ただし、行政庁が国または公共団体に所属していない場合は
当該行政庁が被告となる。
例えば、指定確認検査機関が行った建築確認の取消訴訟の被告は、当該指定確認検査機関。
被告を誤った訴えは却下となるが、
故意または重大な過失によらない場合は、申立により、被告の変更が認められる。
(⇒15条(被告を誤った訴えの救済))
2004年改正前は、被告は、処分・裁決を行った行政庁であったが
法律構造の複雑さの中で国民にとって分かりにくい面が多く、
原告の便宜を図る趣旨で、被告を「行政主体」とする改正がなされている。
ただし、実際の訴訟においては
処分庁は「裁判上の一切の行為をする権限を有する」(11条6項)ので、
進行上大きな違いがあるわけではない。