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職業選択の自由 (憲法)
行政書士・試験ランク A
職業選択の自由と制限
職業選択の自由には、営業の自由が含まれる。
職業選択の自由、営業の自由は、
社会の相互連関性や福祉国家実現の要請などの理由により制限を受ける。
この制約は、2段階で考えられている。
Ⅰ.まず、表現の自由など「精神的自由権」に比べ
職業選択の自由など「経済的自由権」はより大きな規制を受ける。
(違憲判定基準は、より緩やかなものとなる⇒二重の基準論)
Ⅱ.そして、職業選択の自由(営業の自由)への規制は、
その規制目的により、消極目的規制と積極目的規制に分けられる。
(⇒目的二分論)
消極目的規制は、国民の生命・健康への危険を防止する目的の規制であり、
積極目的規制は、調和ある経済発展や福祉国家の実現等の政策目的による規制。
(⇒この目的の違いに基づき、規制の違憲判断基準も
「厳格な合理性の基準」と「明白性の基準」にわかれる)
以上を表示すると、以下のようになる。
《「二重の基準」の理論 》
「精神的」自由 を制限する 法律の合憲判断 | 精神的自由を制約する法律についての憲法判断は 裁判所が積極的に介入し、「厳格な審査基準」により憲法判断をする。 |
「経済的」自由 を制限する 法律の合憲判断 | 職業選択の自由など経済的自由を制約する法律についての憲法判断は、 国会の判断を尊重し、精神的自由の制限に比べ 緩やかな審査基準で判断される。 |
↓
《規制目的二分論 》
規制二分 | 内容 | 合憲判断基準 | 内容 |
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消極的目的 規制 | 国民の生命・健康への危険を防止する目的の規制 | 厳格な合理性 の基準 | 危険・害悪は客観的判断できるため 裁判所が、その合理性を厳格な基準で判断 |
積極的目的 規制 | 調和ある経済発展や福祉国家の実現等の政策目的による規制 | 明白性の基準 | 政治の裁量判断を尊重し、 著しく不合理であることが明白な場合にのみ、違憲の判断をする |
小売市場距離制限事件(最大判昭50.4.30)
《小売商業調製特別法の違憲判断》
小売市場距離制限事件(最大判昭50.4.30) | |
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争点 | 小売市場の開設に適正配置を要求する小売商業調製特別法は 憲法22条に反しないか |
判旨 | 経済活動の規制については、 積極目的の規制と消極目的の規制を区別して判断する。 本件は、経済的基盤の弱い小売商を共倒れから保護することを目的とした積極目的の規制であり、「明白性の原則」から合憲である。 |