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株主と株式 (会社法)
株主の責任と権利
株主の責任は、その有する株式の引受額を限度とする。
株主は、その有する株式につき、以下の権利を有する。
(1)剰余金の配当を受ける権利
(2)残余財産の分配を受ける権利
(3)株主総会の議決権
- (1)(2)の権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。
発行可能株式総数
株式会社は、成立の時までに、定款で
発行可能株式総数を定めなければならない。
(公開会社も非公開会社も、定款で発行可能株式総数の定めを置く)
公開会社は、設立時発行株式の総数が、
発効可能株式総数の4分の1を下回ってはならない。
《発行可能株式総数》
- | 内容 | 公開会社 | 非公開会社 |
定款の定め | 発行可能株式総数を 定款で定めなければならない | 必要 | |
4分の1以上 の株式発行 | 発行済の株式総数が 発効可能株式総数の 4分の1を下回ってはならない | 必要 | 不要 |
- 定款を変更して発行可能株式総数の定めを廃止することはできない
- 公開会社は、発行可能株式総数を増加して、
発行済み株式数の4倍を超えることはできない。
(公開会社は、発行済み株式数が発行可能株式総数の4分の1以上が必要)
反対株主の株式買取請求権
「反対株主の株式買取請求権」とは、
株式会社の一定の基礎的変更の場合において、それに反対する株主が、
会社に対してその所有する株式を、公正な価格で買い取ることを請求できる権利。
株主平等の原則
「会社は、株主を、
その有する株式の内容・数に応じて平等に取り扱わなければならない」
- この平等の原則に違反する行為は、無効と解される。
(不利益を受ける株主が任意に承認するのであれば有効)
- 各株式の内容が同一である限り、同一の取り扱いがなされること
(取扱いの平等)
- 例外として、非公開会社における
定款に基づく「剰余金の配当等についての異なる取り扱い」がある
株主の権利への利益供与
株式会社は、何人に対しても、
株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない。
《違反》
★利益の供与を受けた者
違法な利益供与を受けた者は、それを株式会社に返還しなければならない。
★関与した取締役・執行役
- 違法な利益供与をした取締役・執行役は、つねに
会社に対して、供与額に相当する額を支払わなければならない。
- 利益の供与に関与した取締役・執行役は、
職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しない限り、
会社に対して供与額に相当する額を支払わなければならない。
単元株制度
単元株式とは、定款の定めをもって、
「一定数の株式を1単元として、株主の議決権を1単元に1個とする制度」
《単元株式の設定・変更・廃止》
単元株式の設定・変更・廃止 | |
---|---|
単元株式の 設定・変更 | 株主総会の特別決議による定款変更が必要 |
単元株式の 減少・廃止 | 取締役の決定(取締役会の決議)によって 定款を変更することができる |
- 単元株式数は、法務省令で定める数を超えることはできない。
【単元未満株主の権利】
- 単元未満株主は、株主総会において
議決権を行使することができない。
- 単元未満株主は、
議決権の存在を前提とする権利以外の株主としての権利は、
すべて有する。- 単元未満株主の一定の権利以外の権利の全部又は一部について
行使することができない旨を定款に定めることができる。 - 株券発行会社であっても、
単元未満株式にかかる株券を発行しないことができる旨を
定款で定めることができる。
- 単元未満株主の一定の権利以外の権利の全部又は一部について
【買取請求】
単元未満株主は、株式会社に対して、いつでも
自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
【売渡請求】
単元未満株主が会社に対して
その有する単元未満株式の数とあわせて単元株式となる数を
売り渡すよう請求できる旨を
定款で定めることができる。
株式の併合・分割・無償割当て
《株式の併合・分割・無償割当て》
株式の併合 | 株主総会の「特別決議」が必要 (株主の利益に重大な影響があるため) |
株式の分割 | 株主総会の普通決議 (取締役会設置会社では取締役会の決議)で決定 |
株式の無償割当て |
★株式無償割当てとは、
株主に新たに払込みをさせないで、株式の割当てを行うこと。
(自動的に株式を取得させる制度)
(株主の有する株式数に応じて、株式を割り当てる)
《株式の分割と無償割当て》
- | 株式の分割 | 株式の無償割当て |
---|---|---|
株式の種類 | 同一種の株式数が増加 | 同一又は異種の株式を交付することができる |
自己株式 | 自己株式も増加する | 自己株式には割当てできない |
自己株式の交付 | 自己株式を株主に交付 できない | 自己株式を株主に交付 できる |
1株に満たない端数の処理
株式併合等により、1株に満たない端数が生じた場合は、
それを競売して代金を分配する。
- 市場価格がある株式は、市場価格で売却し又は買い取り
- 市場価格がない株式でも、裁判所の許可を得て
競売以外の方法で売却し又は買い取り、代金を分配する
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