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条例の法律適合性 

条例の自主立法権

条例制定権は、
憲法94条(「地方公共団体は、・・・、法律の範囲内で条例を制定することができる」)
および地方自治法14条1項に基づき地方公共団体に認められた自主立法権である。

条例には、以下の2つが存在する。
①法律の内容を実施するために法律の委任に基づいて制定される条例
②「地方自治の本旨」に即して
 地方自治体の事務に関して自主的に制定することを認められた条例

②については、法律の委任規定等の法律の授権を一切受けずに自主的に制定される。

では、②のような自主条例が、住民の権利義務を制限する内容を持つ場合、
「法律の留保原則」に反しないのだろうか?

自主条例と「法律の留保原則」

自主条例と「法律の留保原則」の関係を考える場合、まず、
地方公共団体の対象事務が「地域の特色に応じた独自の規制」を必要としている点、
条例が、公選の住民代表たる議員が構成する議会によって制定される点
を抑えておくべきだろう。

また、憲法94条は、「法律の範囲内で」条例制定権を認めているわけだが、
地方自治法14条はさらに踏み込んだ形で条例制定権を規定している。


[地方自治法14条]
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。


地方自治法14条1項は
条例制定権を「法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務」全般を対象として認めている。

第二条第二項の事務、すなわち「地域における事務」に該当すると認められれば
自主条例を制定することは
積極的に「法令に違反するものでなければ」許容される、ということである。

さらに2項では、
「義務を課し権利を制限する」地方自治体の活動が許されるのは、
国の法令がある場合のほかに、「条例によらなければならない」としており、
「条例が、住民の権利制限の根拠規定となる」という趣旨の規定を置いている。

つまり、地方自治法は、
「法律+条例の留保原則」を採用している、と考えられるのである。


「上乗せ条例」「横出し条例」の法律適合性

では、公害規制や環境保護などに見られる「上乗せ条例」「横出し条例」の
法律適合性についてはどうだろうか?

大気汚染法では、環境省令で定められた排出基準等が地域実情により不十分な場合
上乗せ条例を制定することを、明文で認めている。

このような場合はもちろんOKだが、
法律に「上乗せ条例」の明文規定がない場合で、
「上乗せ条例」が法令の規定に抵触・違反するように見える場合はどうだろうか?

この場合も、直ちに違反条例と判断されるわけではない。

判例によれば
「条例と法律双方が規律する対象事項や規定文言を表面的に対比するだけでなく、
 それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、
 両者の間に矛盾抵触があるか否かによって判断すべき」
ということになる。  (徳島市公安条例事件・判例)

つまり、
地域の実情に応じ合理的な範囲で定められた自主条例の規定は、
それが関係法律の規定の趣旨に矛盾抵触しない限り適法と扱われる。



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