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意思表示 ( 行政書士の「民法」)
意思表示とは
- 意思表示とは
「一定の法律効果の発生を欲する」意思を、外部に表示する行為
- 意思表示は
- 効果意思
- 表示意思
- 表示行為
から成り立っている
- 表示意思の前段に動機がある
動機 ⇒ 効果意思 ⇒ 表示意思 ⇒ 表示行為
- 動機 ・・・「このメロンは、夕張産だからたくさん買おう」
- 効果意思・・・「このメロンを1個二千円で、5個買おう」 (考え)
- 表示意思・・・「このメロンを1個二千円で、5個買うと表示しよう」(考え)
- 表示行為・・・「このメロンを1個二千円で、5個買います」 (行為)
【 意思表示のトラブル 】
- 勘違いなど真意に反する契約を結んでしまった場合に
民法には、それを救済するための規定が設けられている
(大きく2つに分類される)
意思の不存在
心裡留保
心裡留保とは、
真意のないことを知りながらする、単独の、意思表示。
《効果》
- 原則、有効である
相手方が、悪意又は有過失 ⇒ 無効 (民法93条)
(相手方が表意者の「真意を知り」または「知ることができた」ときは、その意思表示は、無効)
- 善意の第三者には無効を対抗できない。
(過失があっても、善意であれば、第三者は保護される)
虚偽表示
虚偽表示とは、
相手方と通じて、真意でない意思表示をすること。
《効果》
- 虚偽表示の無効を対抗できない「第三者」とは
当事者・その一般承継人「以外」の者であって
その表示の目的につき法律上の利害関係を持つに至った者、をいう。
錯誤
錯誤とは、
表示に対する意思が不存在であり、そのことに表意者の認識が欠けていること
①法律行為の「要素」に錯誤がある。
(法律行為の要素とは、法律行為の重要な部分のこと)
②表意者に重大な過失がない。
錯誤による意思表示は、原則、''無効''である。
- ただし、表意者に「重大な過失」があったときは、表意者は自らその無効を主張できない。
《無効を主張できる者》
- 原則、本人のみ
- 第三者が、表意者の債権を保全する必要があり
表意者が、錯誤があることを認めているときは
表意者は無効を主張する意思がなくても、第三者は無効を主張できる。
- 第三者が、表意者の債権を保全する必要があり
【 動機の錯誤 】
- 動機の錯誤とは、意思表示の動機に錯誤がある場合
- 偽物の絵画を本物と思い込んで買った場合、
「この絵画を買いたい」という効果意思は存在するが
「この絵画」を本物と勘違いしたという効果意思を形成する過程に
欠陥がある(⇒動機の錯誤)
- 偽物の絵画を本物と思い込んで買った場合、
- 動機の錯誤は、原則、無効とならない。
- 「動機が意思表示の内容として表示されている」
「相手側からもそれが認識できるようになっている」
(動機が、明示または黙示で表示されている)場合は、
錯誤について重過失がないときは、無効を主張できる。
- 「動機が意思表示の内容として表示されている」
瑕疵ある意思表示
詐欺
詐欺されてなした意思表示は、取り消すことが出来る。
- 「取消し前の、善意の第三者」には対抗できない。
- 取り消し後の、善意の第三者とは対抗関係となり
先に登記を備えた者が優先される。
- 取り消し後の、善意の第三者とは対抗関係となり
- 「第三者が詐欺」した場合は、「相手方が悪意」である場合に限り、
取消すことが出来る。
脅迫
脅迫されてなした意思表示は、取り消すことが出来る。
- 第三者にも取消しを対抗できる(善意・悪意を問わない)
- 取り消し後の第三者との関係は、対抗関係となり
先に登記を備えた者が優先される
意思表示のまとめ
類型 | 原則 | 例外 | 第三者 | |
---|---|---|---|---|
意思の 不存在 | 心裡留保 | 有効 | 相手が悪意・有過失 ⇒無効となる | - |
虚偽表示 | 無効 | なし | 善意の第三者には 対抗できない | |
錯誤 | 無効 | 表意者に重大な過失 がある場合は、 無効を主張できない | 債権保全のため必要な場合、本人が錯誤を認めているときは 第三者が無効を主張できる | |
瑕疵ある 意思表示 | 詐欺 | 取消し できる | 第三者が詐欺した場合は 相手方その事実を知っていたときに限り、取消できる | 善意の第三者には 対抗できない |
脅迫 | 取消し できる | なし | 対抗できる (善意・悪意とわない) |