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即時取得 (民法)
即時取得 (占有権)
即時取得について
[民法192条]
(即時取得)
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
〈ポイント〉
- 取引行為によること。
- 間違えてある物を持ち帰っても、即時取得は成立しない。
- 動産であること。
- 不動産では、即時取得は成立しない。
- 平穏、かつ、公然と
- 善意であり、かつ、過失がない
- 買主が悪意である場合は、即時取得は成立しない。
- 買主に過失があるときは、即時取得は成立しない。
即時取得についての判例
★占有物が不動産であった場合は、即時取得の規定は適用されない。
(大判昭7.5.18)
★民法192条の「善意であり、かつ、過失がないとき」とは、取引の相手方がその動産につき無権利者でないと誤信し、かつ、そう信じることについて過失のないことをいう。
(最判昭26.11.27)
★占有改定の方法では即時取得が成立しない。
(最判昭35.2.11)
★執行債務者の所有に属しない動産が強制執行に付された場合にも即時取得は成立する。
(最判昭42.5.30)
★未登録の自動車は、即時取得の対象となる。
(最判昭45.12.4)
★登録済みの自動車は、公示方法があるので、即時取得の対象とならない。
(最判昭62.4.24)
〈ポイント〉
- 不動産の即時取得はできない。
- 占有改定では即時取得はできない。
- 現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転では、即時取得はできる。
- 贈与により占有を取得した場合は、即時取得は成立する。
- 商品券などの無記名債券も、即時取得できる。
- 無登録の自動車は即時取得の対象だが、登録済みの自動車は即時取得できない。
⇒[ケーススタディ]無権利者からの即時取得
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