憲法・民法・行政法と行政書士 > 民法 > 動産の物権、占有権、所有権
「動産の物権」と「占有権」 (民法)
動産の物権
動産に関する物権の譲渡は、
その動産の「引き渡し」がなければ、第三者に対抗できない。
(動産は、引き渡しが公示方法)
- 現実の引渡し
- 引き渡しによって、占有権の譲渡をすること
- 簡易の引渡し
- 譲受人(その代理人)が現に占有物を所持する場合には
当事者の意思表示のみによって、占有権の譲渡ができる
- 譲受人(その代理人)が現に占有物を所持する場合には
- 占有改定
- 物理的には譲渡人の下に物がおかれたまま
譲受人に引き渡すこと
- 物理的には譲渡人の下に物がおかれたまま
- 指図による占有移転
- 代理人が占有する場合、
本人が代理人に対し、以後第三者のためにその物を占有することを命じ
第三者がこれを承諾したときは、第三者が占有権を取得する
(本人の指図+占有を移される者の承諾、が必要)
(代理人の承諾は不要)
- 代理人が占有する場合、
即時取得
取引によって、動産を、
平穏かつ公然と占有を始めた者は
善意で、かつ、過失がない場合は
即時にその動産について行使する権利を取得する。(即時取得)
《要件》
- 動産である
- 有効な取引行為が存在する
- 無権利者・無権限者からの取得
- 平穏、公然、善意、無過失
- 占有を始めること
《即時取得が成立しない場合》
- 有効な取引行為が存在しない場合
- 自分の所有物と誤って他人の山林の立木を伐採した場合
- 成年被後見人からパソコンを購入した場合
- 駐輪場に停めてあった他人の自転車を
自分の物と誤認して使用し続けた場合(取引行為が存在しない)
- 占有改定では即時取得は成立しない
占有権
占有権とは、正当な権利の有無にかかわらず、物を所持している事実状態を保護し、
物を占有する事実のみによって生ずる権利。
占有権は、
自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
(占有権は、代理人によって取得することができる。)
占有の訴え
占有者は、以下の「占有の訴え」を提起することができる。
(他人のために占有する者も同様)
《占有の訴え》
- | 要件 | 請求 | 提訴期間 |
---|---|---|---|
占有保持の訴え | 占有を妨害されたとき | 妨害の停止 および 損害賠償 | 妨害の存する間またはその消滅した後「1年」以内 工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。 |
占有保全の訴え | 占有を妨害されるおそれがあるとき | 妨害の予防 または 損害賠償の担保 | 妨害の危険の存する間 工事により占有物に損害を生じるおそれがある場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。 |
占有回収の訴え | 占有を奪われたとき | 物の返還 および 損害賠償 | 占有を奪われた時から「1年」以内 |
- 「だまされて」他人に物を引き渡した場合は
「奪われた」わけではないので、占有回収の訴えをすることはできない。
(遺失物の返還請求も、同様に、占有回収の訴えを使うことはできない)
- 占有の訴えは本権の訴えを妨げず、本権の訴えは占有の訴えを妨げない(202条)
- 占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることはできない
(本権があることを理由に、占有の訴えを退けてはならない)
果実の取得
「善意の」占有者
⇒占有物から生ずる果実を取得する。
「悪意の」占有者
⇒果実を返還しなければならず、かつ、
既に消費・損失・収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。
所有権
- 所有者のいない動産は、
所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
- 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した動産の所有権を取得する。
- 所有を異にする動産が付合により分離できなくなったときは
その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する- 主従の区別をできないときは、付合の時における「価格の割合」に応じて「共有」する。
⇒所有権の取得
⇒共有
⇒[ケーススタディ]●共有物の処分
⇒相隣関係
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