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不当利得 (民法)
「不当利得」とは
[民法703条]
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(受益者)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
[民法704条]
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
《不当利得の要件と効果》
要件 | ・法律上の原因がない ・他人の財産、労務によって利益を受けた ・これにより他人に損失が発生した | |
---|---|---|
効果 | 受益者が善意 | 現存利益の返還 |
受益者が悪意 | 受けた利益 + 利子 損害賠償責任も負う |
〈ポイント〉
- 不当利得が成立するためには、
- 法律上の原因がなく生じたものである。
(時効取得は法律上の原因がある) - 損失と利得の間に直接の因果関係がある。
(間接のものは含まれない。ただし、「直接の」という意味は広くとらえる)
- 法律上の原因がなく生じたものである。
- 利得が現物の形で現存する場合は、現物を返還する。
- 善意の受益者は、利益の存する限度で返還すればよい。
- 悪意の受益者は、利息や損害賠償も必要となる。
不当利得の特則
- | 内容 | 効果 |
---|---|---|
非債弁済 | 債務がないのに弁済した | 債務が存在しないことを知っていたときは 返還を請求することができない。 (知らなかったときに限り、請求できる。) |
期限前の弁済 | 弁済期限前に弁済した | 返還を請求することができない。 ただし、錯誤に基づく弁済であった場合は、 債権者は弁済された利得分を返還しなければらない。 |
他人の債務の弁済 | 自己の債務と誤信して 他人の債務を弁済 | 債権者が、善意で、債権証書を紛失、担保を放棄した場合、 時効によって債権が消滅した場合は、 債務者は、不当利得の返還を請求できない。 |
不法原因給付 | 不法な原因に基づいてなされた給付 | 給付者は、返還請求することができない。 |