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行政書士・試験のための「行政法・用語」解説
不作為の不服申立
不作為とは
行政不服審査法2条2項において、不作為を以下のように定義している。
不作為とは、
行政庁が法令に基づく申請に対し、
相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、
これをしないことをいう。
例えば、建築確認や営業許可の申請、生活保護申請などをして、相当期間が経過したにもかかわらず
行政庁からの応答がないなど「握りつぶし」が続いている状態をいう。
これは申請者が法制度上認められた権利が与えられない、あるいは、
権利の有無を適正な出続きで判断される権利が侵害されているということであり、
権利侵害状態と言える。
不服申立ての当事者適格
この権利侵害状態(法令に基づく申請に対して、相当期間内に応答がない状態)に対して
不服申立て(審査請求または異議申立)をすることができる。
[行政不服審査法7条]
行政庁の不作為については、当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者は、異議申立て又は当該不作為庁の直近上級行政庁に対する審査請求のいずれかをすることができる。
ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときは、異議申立てのみをすることができる。
まず、不服申立てを行うには、
それをなす正当な当事者であること(当事者適格)が必要である。
7条は、
当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者は、
異議申立て・・・審査請求のいずれかをすることができる。
と規定してる。
すなわち不服申立てができるのは、
法令に従って、申請をした本人に限定されている、ということである。
異議申立てと審査請求
「申請をした本人」は、不作為に対して、
異議申立て、審査請求のいずれかをすることができる。
(ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときは、異議申立てのみをすることができる。)
[行政不服審査法50条]
不作為についての異議申立てが不適法であるときは、不作為庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。
2 前項の場合を除くほか、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあつた日の翌日から起算して二十日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない。
[行政不服審査法51条]
不作為についての審査請求が不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2 不作為についての審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3 不作為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。
不作為に対する「異議申立て」の場合
…申立てが不適法として「却下されなかった」場合(適法な異議申立ての場合)
⇒不作為庁は、「異議申立てがあつた日の翌日から」起算して20日以内に、
申請に対するなんらかの行為をするか、
書面で不作為の理由を示さなければならない。
不作為に対する「審査請求」の場合
…請求が不適法⇒裁決で、却下。
…請求が「理由がない」⇒裁決で、棄却。
…請求が「理由がある」
⇒審査庁は、
当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを「命ずる」とともに、
裁決で、その旨を「宣言」する。
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