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行政書士 試験ランクB
役員の損害賠償責任 (会社法)
役員等の「会社に対する」損害賠償責任
任務懈怠責任
役員等(取締役・会計参与・監査役・執行役・会計監査人)は、
「任務を怠ったときは」、会社に対して、
任務を怠ったことによって生じた損害を賠償責任を負う。(過失責任)
- この責任を負う者が複数いる場合は、連帯債務となる。
- 任務懈怠責任を解除するには、「総株主」の同意が必要。
(ただし、善意・無重過失の場合は、株主総会特別決議等で責任の一部免除は可能)
株主の権利行使に関する利益供与
株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、
財産上の利益の供与をしてはならない。(会社法120条)
これに反した取締役・執行役は、、
会社に対し連帯して、供与した額に相当する額を支払わなければならない。
- ただし、その者が職務を行うにつき注意を怠らなかったことを証明した場合は
かかる義務は負わない。(過失責任) - もっとも、供与を行った取締役・執行役については
かかる証明をしたところで支払い義務を免れることはできない。(無過失責任) - この義務は、総株主の同意がなければ、免除されない。
利益相反取引
利益相反取引が行われた場合で、取締役・執行役の任務懈怠により、会社に損害が生じた場合
その取締役・執行役は、その損害を賠償する責任を負う。
- その取締役・執行役は、「任務懈怠がなかったこを立証」しない限り、責任を負う。
- ただし、自己のために会社と直接に利益相反取引をした取締役・執行役は、
「無過失責任」とされ、責任の一部免除等も認められない。
競合取引
取締役・執行役が、自己または第三者のために会社の事業に関する取引(競合取引)をし、これにより会社に損害が生じた場合、
任務懈怠した取締役・執行役は、その損害を賠償する責任を負う。
役員等の「第三者に対する」損害賠償責任
役員等がその職務を行うについて悪意・重過失があり、
これによって第三者に損害が発生した場合、
当該役員等は、その損害を第三者に対して賠償する責任を負う。
- この「悪意・重過失」の対象は、第三者に対する「加害ではなく」、「任務懈怠」である。
これは、「第三者保護のため」に定められた「特別の法定責任」である。(判例)
- 「役員等の任務懈怠の行為」と「第三者の損害」との間には
相当の因果関係が必要である。(判例) - この第三者に対する責任は、第三者保護のために法が特別に認めたものであり、
「不法行為」に基づく損害賠償「ではない」ため、
その消滅時効は、通常債権と同様の「10年」であり、
「商行為」に基づく債務「ともいえない」ため、
延滞賠償金は、民事法定利率の年5分である。(判例) - 社外取締役として名目的に取締役となっている場合でも、任務懈怠が認められれば
第三者に対する責任を負うことがある。(判例)
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