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保証債務  (民法

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保証債務


民法446条 
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。


例えば、AがBに500万円を貸すにあたり、債権を確実に回収するため
AがCとの間で「Bが弁済できない場合は、Cが肩代わりをする」との趣旨の契約をすることができる。
(この保証契約は、書面でしなければならない)

この場合のBを「主たる債務者」、その債務を「主たる債務」という。

保証契約において、債務者Bは当事者ではなく、Bが反対したとしても
A・C間の保証契約は有効に締結することができる。

保証人の資格

保証人は資格を要さない。 (制限行為能力者であっても、無資力であってもよい。)

ただし、債務者が、「保証人を立てる義務を負う場合」
 ・行為能力者であること
 ・弁済をする資力を有する者であること
が必要となる。

保証債務の範囲

保証債務は、特約がない限り、
元本、主たる債務に関する利息違約金損害賠償など
主たる債務に「従たるすべてのもの」が含まれる。

ただし、保証債務が、主たる債務より「重くなることはない」。
(契約により、主たる債務より軽くすることは可能)

また、保証債務は別個の債務であるため、
保証債務にのみ違約金や損害補償額の「予定」をすることができる。


保証債務の性質

付従性

保証債務は、主たる債務が履行されない場合に、その債務を履行することを目的とする。

つまり、
・主たる債務がなければ、保証債務は成立せず、
・主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する。

これを保証債務の「付従性」という。

また、このように「主たる債務」と「保証債務」に主従関係があるため、原則として
「主たる債務者」に生じた事由の効力は、「保証人」にも及ぶ
・「保証人」に生じた事由の効力は、「主たる債務者」には及ばない。

例えば、主たる債務者が債務を承認すると、保証人の時効も中断するが、
保証人が債務を承認しても、主たる債務者の時効は中断しない。

随伴性

「主たる債務」が、債権譲渡などにより他に移転した場合は、
保証債務」もこれに伴って移転する。

これを保証債務の「随伴性」と言う。

例えば、債権者A、主たる債務者B、保証人C、という関係の中で
Aが、債権を第三者Dに譲渡した場合、
Aがその旨をB(主たる債務者)に「通知」を行うと、
Dは、C(保証人)に対し、保証債務の履行を請求できることになる。

補充性

保証債務の「補充性」とは、
主たる債務が履行されない場合にはじめて、保証人が債務の履行責任を負うこという。

よって、保証人は、以下の権利を有する。

催告の抗弁権
保証人が債権者から履行の請求を受けた場合、
保証人は、自分より先に、まず主たる債務者に催告するよう請求することができる。

検索の抗弁権
保証人が債権者から履行の請求を受けた場合、
保証人が、主たる債務者に「弁済の資力があり」、
しかも「強制執行が容易な財産である」ことを「証明」すれば
まず、主たる債務者の財産について強制執行するよう請求できる。


共同保証

1つの債務について、数人の保証人がいる場合を、「共同保証」という。

分別の利益
共同保証の場合、
各保証人は、主たる債務を「保証人の頭数で等しく分けた額」についてのみ
保証債務を負担する。


保証人の求償権

保証人が、主たる債務者に代わって債務の履行をしたとき
保証人は、主たる債務者に対して「求償権」を有する。

また、共同保証の場合(保証人が複数いる場合)において
自己の弁済分を超えて弁済した保証人は、
主たる債務者の資力が十分でない場合には、他の共同保証人に対しても
その負担部分に応じて求償することができる。

《事前求償権》
委託を受けた保証人」は、以下の場合、弁済前に、あらかじめ求償権を行使できる
  ① 主たる債務者が「破産手続開始の決定」を受け、債権者がその「破産財団の配当に加入しない」。
  ② 債務が弁済期にあるとき。
  ③ 債務の弁済期が不確定で、保証契約の後10年を経過したとき。

  *ただし、物上保証人は、事前求償権が認められない。(判例)

《そのほかの保証人の権利》
・保証人は、主たる債務者の有する抗弁権(同時履行の抗弁権等)を援用することができる。
・保証人は、主たる債務者が債権者に対して有する反対債権により、
 「相殺」をもって債権者からの請求に対抗できる

連帯保証

保証人が、主たる債務者と連帯して保証債務を負担する形態を「連帯保証」という。

連帯保証の場合、債権者は、
いきなり、全ての連帯保証人に対し、全額の請求ができる」。

通常の保障債務の場合は、債権者がいきなり保証人に請求しても
催告の抗弁権、検索の抗弁権が主張され、
複数の保証人がいても「分別の利益」があるため、1人の保証人に全額を請求できない。

連帯保証の場合は、
 ・保証債務「補充性」がなく検索の抗弁権・催告の抗弁権が認められない
 ・「分別の利益」がないため、保証人が複数いても、
   1人の連帯保証人に対して「全額を請求できる」

また、連帯保証人への「請求」の効力は、主たる債務者にも及び
主たる債務者の時効が中断する。


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