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代理権の濫用  (民法

代理権の濫用とは、
本人から代理権を与えられた者が
「自己または第三者の利益を図るために」代理権を行使すること、をいう。

この場合、本人は、代理行為の責任を負うことになるか?
ということが問題となる。

代理権の濫用を「権限外の行為の表見代理」の問題とした場合、
相手方は、表見代理成立を証明しなければ保護されず、取引の安全が害されることになる。

代理権の濫用は、
代理人は代理権の範囲内で代理行為をしており、
内心で「自己または第三者の利益を図ろうとしている」にすぎない。

よって、取引の安全・相手方の保護を考えた場合、
本人が代理行為の責任を負うことが当然と考えられる。

ただし、相手方が、代理人の内心の意図について悪意であった場合はどうだろう?

代理人の意図を知っていた相手方を保護する必要があると言えるだろうか?

判例は、この問題について
民法93条(心裡留保)但書を類推適用し、
「相手方が、代理人の意図を知り又は知ることができた場合に限り、
 本人は責任を負わない」 (最判昭42.4.20)
としている。

代理人の「本人のためにする」代理行為の表示と、
「自己または第三者のためにする」という真意の間に不一致があり、
心裡留保の表示と真意の不一致と類似するからである。


代理権の濫用においては、本人は、代理行為の責任を負う。

ただし、相手方が代理人の意図を知り又は知りることができた場合は
本人は責任を負わない。



 

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